研究課題
難病である腸管不全に対する唯一の根治的治療である腸管移植が保険承認され、他の臓器移植と比して高率に発症する急性拒絶反応の予防と中長期における安定したグラフト機能の維持が喫緊の課題である。本研究の主目的は、慶應義塾大学小児外科が確立したカニクイザルにおける小腸移植モデルを用いて適切な維持療法としての新規Anti-CD40抗体の効果と安全性を明らかにすることである。カニクイザルを用いた腸管移植の報告は世界的にもほとんど存在せず、MHCの統御されたカニクイザルの供給・飼育・管理体制が整備された滋賀医科大学動物生命科学センターで、臨床応用可能な免疫抑制剤の効果を免疫モニタリングとともに解析する。また、ドナーとレシピエント細胞を区別できるMHC抗体を利用して、血液及び腸管リンパ組織での再構築及びキメリズムを解析し、特にケモカインレセプターに着目したCD4T細胞の詳細な解析を行い、腸管拒絶反応との関連性を明らかにする。これまで、MHCのタイプされたカニクイザルを使用して、6回の生存実験を施行している。Group 1(n=3; Tacrolimus+Mycofenolate Mofetil+steroid)およびGroup 2(n=3; Tacrolimus+Steroid)の免疫抑制剤プロトコールであり、それぞれの拒絶反応陰性生存期間はGroup 1: 63.5±40.3)、Group 2: 23.3±8.1)であった。移植後のドナーキメリズムの評価から、キメリズムの程度と拒絶反応に相関があることが判明した。Anti-CD40抗体を使用した治療群の評価は本年度を予定している。
3: やや遅れている
移植実験施設である滋賀医科大学の環境変化(人員の再配置による人員不足)とAnti-CD40抗体の企業とのMaterial transfer agreement(MTA)に時間を要しているため。
カニクイザル小腸移植モデルの従来の免疫抑制物質による拒絶反応陰性生存期間が確定したため、本年度は企業とのMTAを進め、また同時に移植実験施設である滋賀医科大学との環境調整を進め、3回の生存実験を行う予定である。3回の生存実験にAnti-CD40抗体を使用することで、Anti-D40抗体の小腸移植における効果のデータが解析可能と考えられる。
研究実施状況・環境に若干の変化があり、購入予定であった動物の購入が遅れているため。本年度に滋賀医科大学と環境を調整し、購入を予定している。
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http://www.hosp.keio.ac.jp/annai/shinryo/organ-transplantation-center/#doctorIntroduce