非浸潤癌細胞株を用いた実験でEMT阻害剤により細胞遊走能や浸潤能が抑制されること、in vivoでは無治療群と比較して肺転移が抑制されることを明らかにした。手術標本を用いた検討ではEMTマーカーの発現が高い腫瘍ほど微小浸潤の存在や術後局所再発率が高いか否かを検証した。さらにエストロゲン受容体陽性非浸潤性乳癌の多くが、遺伝子増幅なしにHER2蛋白を過剰に発現していることを見出した。将来的に本研究の成果によって見出したEMT阻害剤による浸潤形成抑制作用によって、非浸潤癌を手術せずに治療するという全く新しい治療法の開発につなげたいと考えている。
|