研究課題
BRCA1/2遺伝子の生殖細胞系列に病的変異を有する方は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌の発症リスクが高くなる。病的変異は人種によって多種多様であり、日本人のデータも増えてきているが、BRCA1/2遺伝子変異の機能的意義や治療標的としての可能性についての詳細は明らかでない。本研究では、これまでの解析により明らかとなっているBRCA1/2遺伝子変異をデータベースに参照し、病的変異の機能的意義づけをすることを目的とした。遺伝性乳癌卵巣癌において見出されたBRCA1/2生殖細胞系列変異を、ACMG ガイドライン、ClinVar、ENIGMA等のアノテーションデータセットを基準にしたHM-BRCAデータベースと比較した。本邦の研究から抽出したBRCA1/2変異(1,040変異)の評価では、病原性との高い一致率(98.1%)が示された。また、海外のデータセット(4,975変異)においても、高い一致率(99.98%)が示された。これまでに機能的意義が不明であったバリアントBRCA1 p.V1653L(NM_007294.3:c.4957G > T; rs80357261)は、病原性の可能性が高いバリアントに再分類されることが明らかとなった。この多型を有する3家系が同定され、家族へのリスクマネージメントの必要性が示された。次に、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤に対する感受性について評価した。その結果、病的変異を有する場合には、治療効果を示すとの関連が見出された。一方、3.95%の病的変異では、PARP 阻害剤に対する有効性が低いことが予測された。本研究のデータセットによるBRCA1/2遺伝子変異の再評価は、臨床的に機能的意義のアノテーションと治療効果を予測する上で重要な指標となることが示された。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Int J Mol Sci
巻: 21 ページ: E3895
10.3390/ijms21113895
J Obstet Gynaecol Res.
巻: 45 ページ: 743-747
10.1111/jog.13851
https://www.ych.pref.yamanashi.jp/department02/509/