近年、重症下肢虚血(CLI)に代表される末梢血管障害の罹患率が増加傾向にあり、これは治療ができなければ、または治療が奏功しなければ下肢切断に至る非常に重篤な疾病である。しかし、下肢の血管をバイパスできるだけの内径が細く、長い人工血管は現在のところ存在しない。PTFEに代表される人工物製のグラフトでは耐久性、耐年性、グラフト自体の閉塞の発生率など様々な問題があるためである。一方で、医工学技術によって作製される、とくにBiotubeを始め自己組織で作製可能なグラフトは患者体内との適合性もよく、臨床応用可能となればこれまでにない外科治療の選択肢として臨床医学に貢献できる。
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