研究課題/領域番号 |
18K16296
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡本 宏史 東北大学, 大学病院, 助教 (80732487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 食道扁平上皮癌 / 化学放射線感受性 / Murine double minute 2 / p53 / p16 / Ki-67 |
研究実績の概要 |
本研究は、食道扁平上皮癌に対する化学放射線療法(CRT)効果予測因子の解明と集学的治療戦略の確立を目的として、CRT抵抗性関連因子であるMurine Double Minute 2 (MDM2),p53,p16,Ki-67などの各種マーカーのCRT抵抗性や予後への関わりを調べ、CRT抵抗性に関して基礎データを得ることによって、食道癌の治療戦略の策定と、前方視的臨床研究への足掛かりをつくることを目的としている。 今年度は、東北大学病院食道外科グループのデータベースおよびカルテから抽出した術前CRT症例(5Fuluorouracil、cisplatinの2剤と放射線30Gy)52症例の、治療前生検組織に対してMDM2、p16、p53、Ki-67の免疫染色と顕微鏡下での評価を行い、解析した。Overall Survival (OS)に関してはp53陽性とKi-67高値で、Disease Specific Survival (DSS)ではMDM2陰性、p16陰性、p53陽性、Ki-67高値で、Disease Free Survival (DFS)ではMDM2陰性、p16陰性、p53陽性で予後が悪い傾向にあった。この中で、特にp16陰性/p53陽性/Ki-67陰性はそれ以外と比べてDFSが、p16陰性/p53陰性はそれ以外と比べてDSSおよびDFSが悪くよく相関した。病理学的治療効果判定はいずれの予後ともよく相関した。 現在、根治的化学放射線療法後遺残・再発症例に対する救済(サルベージ)手術症例の治療前生検組織と切除標本でのMDM2等マーカー発現の免疫染色、評価を行っている。また、取り扱う全ての症例に関して最新の予後調査を行った(カルテおよび郵送アンケート調査)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
根治的化学放射線療法(dCRT)症例(5FU・CDDPの2剤の症例に加えDocetaxelも加えた3剤の症例も含む)、術前CRT手術症例、術前化学療法手術症例、dCRT後救済手術症例に加えて術前未治療症例に関してデータベース・カルテを用いたデータ抽出とデータ解析、予後調査を行いまた、免疫染色に関しては、術前CRT手術症例、術前化学療法手術症例、根治的CRT後救済手術症例に関しての、CRT・化学療法の感受性や予後、臨床病理学的因子などのデータと免疫染色結果との解析、比較対象症例として術前未治療の手術切除検体の免疫組織結果との解析を終えている。今回術前CRT手術症例の治療前生検組織標本の評価と解析を行い、現在救済手術症例の治療前生検組織と切除標本でのマーカーの免疫染色を行っており、概ね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き抽出したデータを整理し、CRTや化学療法について関連を見ていく。 現在行っている、根治的化学放射線療法後の救済手術症例の治療前生検組織と切除標本でのマーカーの免疫染色と評価を行い、各々の関連や臨床病理学的因子(術前治療前後の上部消化管透視検査・内視鏡検査、CT・PET-CT検査を用いた臨床的治療効果度を含む)との関連を分析する。術前CRT手術症例、術前化学療法手術症例、根治的CRT後救済手術症例の免疫組織結果に関してもさらに臨床情報との対比、解析を行っていき、予後等のデータも更新していく。 免疫染色マーカーに関しては各症例に対して、必要あればさらに種類を増やして染色を行っていく。新規の症例は随時追加することを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織学的染色や、データの解析に関して病院設備や薬品の使用により予定よりも低額で行うことができている。翌年度へ持ち越した上で引き続きデータの解析や免疫染色等の実験の実費に投じる予定である。
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