今回は進行胃癌の症例が少なく,大腸癌症例を使用して研究を進めた。まず,原発腫瘍組織とオルガノイドにおける遺伝子変異を比較したところ,98%から99%の遺伝子変異が一致しており,オルガノイドは生体内に近い結果が得られると思われた。さらに,最近臨床でよく使用される次世代シークエンサー(NGS)を用いた薬剤感受性予測と,オルガノイドによる薬剤感受性試験の結果を比較すると,NGSにて指摘された遺伝子変異に基づく感受性予測が一致しない症例があった。オルガノイドによる感受性予測はNGSに基づく治療戦略の限界を補完し,より精度の高い個別化医療へ貢献できる可能性を秘めていると考えられた。
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