幽門保存胃切除術は幽門側胃切除術に比べ、術後の下痢やダンピング症状が軽度で、術後栄養状態が良好で体重減少が抑えられ、胆石発生が少ないことが既に示されているが、唯一のデメリットは食物排出遅延の率が高いことであった。本研究で開発されたNoCEAMは、胃を開放しない端々吻合の再建法であるため、感染性合併症と共に食物排出遅延をも低減させることが期待された。実際に臨床試験では、感染性合併症と食物排泄遅延は極めて低率であった。NoCEAMによって幽門保存胃切除術の唯一のデメリットが低減すれば、幽門側胃切除に代わり幽門保存胃切除術が普及することで、胃切除後の合併症や機能障害に苦しむ率が低減すると期待される。
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