同時性重複癌(大腸癌と肝細胞癌)患者のそれぞれの腫瘍より採取した腫瘍浸潤リンパ球のT細胞受容体レパートリー解析を行った。PD-1陽性・PD-1陰性のそれぞれにおいて、クローナルに増殖するものも、そうでないものも共通のT細胞受容体を発現したT細胞が少数見られたが、ほとんどは別個のT細胞受容体を発現していた。 同時性の肝転移を有する大腸癌患者1名より採取した腫瘍細胞をCTOS法で培養した。また原発巣・肝転移巣2か所の腫瘍浸潤リンパ球を解析し、T細胞受容体のレパートリー解析を行った。その結果、原発巣と肝転移巣のレパートリーでは同じT細胞受容体がクローナルに増殖していた。そのうち特にクローン性の高いT細胞受容体の遺伝子を導入したリンパ球を作成した(PD-1陽性を6種類、PD-1陰性を7種類)。遺伝子導入効率を測定すると25~33%であった。これらを先に培養した癌細胞と共培養し、インターフェロンγの測定を測定した結果、PD-1が陽性であったT細胞受容体1種類の遺伝子を導入したリンパ球と癌細胞において有意にインターフェロンγの産生が行われ、そのT細胞受容体が同患者腫瘍においての癌反応性T細胞受容体である可能性が示唆された。
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