申請者帰国に伴い、研究を再開した。患者からの生検サンプルを採取し、オルガノイドを作成したが、形成率が悪くエクソソームの抽出は困難であった。原因を検索したところ、元々R-spondin+Nogginを細胞に遺伝子導入し、回収した培養上清をCondition mediaとして利用していたが、このCondition mediaが十分に機能していない可能性が高かったため、新たにプラスミドを購入し、Condition mediaを再調整した。新たなCondition mediaを使用することで患者の扁平上皮癌からオルガノイドが形成されることを確認した。回収したオルガノイドから切片を作成し、HE染色および免疫染色した後、患者の切除検体やPDXで形成した腫瘍と比較することで、この形成したオルガノイドがオリジナルの腫瘍と同様の形態をとることを確認した。またこの新たなCondition mediaを使用して正常食道のオルガノイドが形成することも確認した。 2022年度においてTotal16症例の患者サンプルを用いてオルガノイド培養を行い、内12例でオルガノイドの形成を認めた(形成率75%)。これらのオルガノイドから回収した培養上清は保存しており、今後エクソソームの抽出を行う予定である。 また我々は食道癌の特異的なマーカーとしてGlypican-1に加え、新たにLAT1を発見した。今後我々は抽出したエクソソーム内でのLAT1の発現についても評価する予定としている。
|