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2018 年度 実施状況報告書

膵癌由来エキソソームによるTAMを介した腫瘍進展機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16312
研究機関鳥取大学

研究代表者

森本 昌樹  鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (40808953)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードTAM / エキソソーム / ホスファチジルセリン
研究実績の概要

TAMは、ホスファチジルセリン(PS)により活性化されるというユニークな特徴を持ち、本研究では膵癌由来エキソソームに含有されるPSについても着目する。現時点でエキソソームに含まれるPSによる癌進展の分子機構の詳細は解明されていない。リン脂質であるPSは、TAMのリガンドに結合することでより強いTAM活性化をもたらす。PSは癌細胞および癌細胞由来エキソソームの膜表面に多く含まれることが明らかとなっている。これらの事実から新たなTAMの活性化機構として、膵癌由来エキソソームに含有されるPSの関与が予想される。当該研究の目的は、「膵癌由来エキソソームに含まれるホスファチジルセリン (PS) や、活性化TAMが膵癌の浸潤・転移を促進する増悪因子となるかを明らかにする」ことである。申請者は、これまでに膵癌培養細胞PANC-1でTAMの発現が高いこと、予後不良なヒト膵癌組織においてTAMの発現量が高いこと、またTAM の発現量依存的にEMTを誘導する転写因子の発現が上昇することをタンパクレベルで示した。
RNAiの手法によりTAMの発現を低下させることで、成長シグナル因子の発現・活性が低下することを示唆するデータをin vitro/in vivoで得ている。
さらにヒト膵癌切除検体においてTAMの発現の程度が独立した予後予測因子であることを示している。
TAMの発現が高い膵癌細胞株PANC-1由来エキソソームをTAMの発現が低い細胞株MIAPaCa-2に処理したところ、TAMの発現量が上昇することを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TAMの膵癌における機能解析について、in vitro/in vivoで解析を行い、予想された結果が得られている。エキソソームの作用と膵癌細胞のTAM発現の関連を示すデータが得られているが、それによる変化が具体的に腫瘍増殖に及ぼす影響については未だ示されていない。

今後の研究の推進方策

A. エキソソーム処理した細胞株の機能および形態解析
エキソソームとPSによる腫瘍進展・Tyro3発現促進を証明するために、Tyro3の過剰発現膵癌細胞株の培養培地より超遠心法を用いて精製したエキソソームや、濃度を調節 (1-100μg/mL)したPS精製標品を異なる膵癌細胞、正常上皮細胞、線維芽細胞、血球細胞注3に添加する。その後、効果判定としてTyro3の発現・活性およびEMTの挙動についてそれぞれの下流シグナルの発現を含めウエスタンブロット法にて解析する。EMTに関連する細胞形態変化については免疫組織化学的手法を用いて検討する。腫瘍増殖能はMTTアッセイ、創傷治癒アッセイで評価する。
B. 動物実験及びTyro3 (TAM)抑制実験
膵癌細胞xenograftモデルマウスに対して膵癌細胞由来エキソソームの腹腔内投与を行う。加えてエキソソームの前処理による腫瘍進展に対する影響を検討する。またTyro3をRNAiで発現抑制した膵癌細胞を作製し、Tyro3の腫瘍進展への関与をAと同様の手法で検証する。

次年度使用額が生じた理由

使用数の予測が相対的につきにくい動物(マウス)使用実験の進行度、交体など使用実験の進行度によって次年度使用額(B-A)31,993円が生じた。次年度において、申請内容にある動物実験、細胞実験において次年度申請の助成金と合わせ使用する見込みである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 受容体型チロシンキナーゼTAMは膵臓癌の増悪化に関与する2019

    • 著者名/発表者名
      森本 昌樹
    • 学会等名
      第60回 日本生化学会 中国・四国支部例会

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公開日: 2019-12-27  

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