世界初のEMT可視化プローベを用い、癌細胞のEMTイメージングから予後不良大腸癌の解明を行い以下の結果を得た。1: TGFβだけがEMTを起こすのでなく、炎症性サイトカインでもEMTを起こす、2: 一部の大腸癌はEMTにより化学療法に抵抗し、中でもpartial EMTが最も抵抗性である、3:EMT抑制剤(例えばグリベック)でEMTが抑制されると、抗癌剤感受性が回復する、4 化学療法誘導性EMTを治療前に予測出来るバイオマーカーを見出した(未発表、論文作成中)。
さらに、高度進行再発MSI-H大腸癌PDX、通常高分化腺癌PDX、高度進行間葉型PDXの大腸癌PDXを作成し、EMTイメージングで得た知見を当てはめると、5.これらは、上記の化学療法誘導性EMTマーカーで3つに分類可能であったことから、今後は生検で予後不良間葉型癌のバイオマーカーとなることが示唆され、6. 間葉型大腸癌PDXモデルに化学療法を行うとEMTを起こし化学療法抵抗性を示し、7. EMT抑制剤は抗癌剤への感受性を回復させるだけではなく、腫瘍微小環境のEMT促進を抑制することが判明した。
上記結果から、1. 間葉型大腸癌に化学療法を行う際には、治療抵抗性の一旦を担うEMTを阻害する薬剤の併用が必要である、2. 治療前に生検材料から、MSI-H型、通常高分化型、間葉型であるかを我々が見出したマーカーで診断する必要がある、ことが臨床上多いに有益であると示唆された。
|