本研究では、大腸癌幹様細胞マーカー遺伝子であるc-MYCが抗癌剤抵抗性に関わっており、その発現レベルが無再発生存期間と相関性を示すことに着目し、大腸癌の解糖系を介した抗癌剤耐性獲得におけるc-MYCの役割を明らかにすることを目指している。さらに、抗癌剤抵抗性や抗アポトーシス能が亢進するとされえるグルコース飢餓環境下におけるc-MYCの活性の変化や役割についても検討することとした。 本年度は各種大腸癌細胞株を用い、通常条件下とグルコース飢餓環境下におけるc-MYC阻害による解糖系に関する酵素群の発現レベルの変化を検討した。各種大腸癌細胞株でグルコース飢餓環境によりヘキソキナーゼ蛋白の発現が軽度に増加し、解糖系の活性化および代謝系reprogramが示唆された。c-MYCに対する阻害はヘキソキナーゼ蛋白の発現を容量依存的に抑制し、抑制効果はグルコース飢餓環境下で顕著であった。代謝系reprogramの際にc-MYC依存的にヘキソキナーゼの発現が誘導され、解糖系が活性化していることが示唆された。 今後は抗癌剤耐性獲得大腸癌細胞株でのc-MYC阻害による解糖系に関する酵素群の発現レベルの変化を検討予定であり、5-FU耐性の大腸癌細胞株を作製中である。
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