研究課題/領域番号 |
18K16320
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
米田 晃 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70713816)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 免疫療法 / ワクチン / 多機能CD4陽性細胞 |
研究実績の概要 |
近交系マウスを用いたT細胞輸注療法と多機能CD4陽性細胞誘導ワクチン併用療法の効果の検証とメカニズムの解析〈in vivo評価系〉BALB/cマウス由来肉腫CMS5のネオアンチゲンであるMAPキナーゼERK2の遺伝子変異由来抗原を同定し、その抗原を認識するTCRをクローニングしてTCR Tgマウス (DUC18マウス)を作成し、抗原特異的T細胞の輸注療法モデルを確立している。TCR遺伝子をレトロウイルスベクターで遺伝子導入したマウスリンパ球の輸注療法 のモデル系も確立した。このマウスモデルをT細胞輸注療法と多機能CD4陽性細胞誘導ワクチン併用療法のin vivo評価系とした。〈多機能CD4陽性T細胞誘導ワクチンの作成〉 腫瘍細胞の免疫原性を向上させたものを不活化してwhole cell vaccineとしたものを多機能CD4陽性T細胞誘導ワクチンとした。ワクチンに腫瘍細胞を使用することで腫瘍に含まれる全ての抗原をtargetにすることができる。マウス腫瘍細胞にMHC class II transactivator であるCIITA及び共刺激分子を導入し、免疫原性を向上させたワクチンのプロトタイプを開発した。上記の近交系マウスのT細胞輸注モデルをin vivo評価系とするためBALB/cマウス由来肉腫CMS5におけるワクチンを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の評価系の確立やワクチンの作成に想定以上に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
〈併用療法の効果の検証とメカニズムの解析〉 T細胞輸注療法と多機能CD4陽性細胞誘導ワクチン併用療法の効果を検証するために、in vivo評価系に腫瘍を接種し、遺伝子改変T細胞の経静脈的投与及び、腫瘍内への多機能CD4陽性T細胞誘導ワクチン接種を行う。腫瘍の縮小効果を評価すると共に、そのメカニズムを解析する。腫瘍内の微小環境改善を解析するため微小環境内の免疫抑制因子であるMDSCや制御性T細胞の浸潤を評価する。また、腫瘍内への輸注T細胞の浸潤、腫瘍特異的なCD4陽性T細胞、CD8陽性細胞の浸潤及びそのサイトカイン産生能(IFNγ、TNFa、IL-2、CD154)を解析する。CD4陽性細胞のCD154を介したB細胞の活性化及び抗体産生を検証するために腫瘍内のB細胞の浸潤と活性化マーカーの測定、血清中の腫瘍特異的な抗体産生の解析及びそのADCC活性やCDC活性の有無を解析する。 〈ヒト化マウスを用いたT細胞輸注療法と多機能CD4陽性細胞誘導ワクチン併用療法の検証〉 ヒト細胞におけるT細胞輸注療法と多機能CD4陽性細胞誘導ワクチン併用療法を検証するために、免疫不全マウスNOGマウスを用いて、in vivo評価系を確立する。NOGマウスにヒトの抗原提示細胞を含んだPBMCを輸注しヒト化マウスとする。我々はヒト腫瘍細胞においても抗原特異的なTCRベクターを開発済であり、ヒト細胞を用いたT細胞輸注療法のモデルも確立済である。ヒト腫瘍細胞を用いて、近交系マウスと同様に免疫原性を向上させ、多機能CD4陽性T細胞誘導ワクチンを作成する。近交系マウスの系と同様に腫瘍を接種し、遺伝子改変T細胞の経静脈的投与及び、腫瘍内への多機能CD4陽性T細胞誘導ワクチン接種を行う。腫瘍の縮小効果を評価及び、その効果のメカニズムを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ワクチン作成にかかる経費を抑制できたため、残額が生じた。 今後はヒト細胞におけるT細胞輸注療法と多機能CD4陽性細胞誘導ワクチン併用療法を検証するために使用する予定。
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