研究課題
腹水細胞からDNA、RNAを抽出し腹水細胞の網羅的ゲノム解析を行った。Exome sequencingとRNA sequencingを行い、腹水細胞が間葉系の性質を有する症例と上皮系の性質を有する症例に分類されることを明らかにした。特に間葉系の性質を有する症例では治療抵抗性があることを報告したが、これは癌細胞自体のゲノム異常の蓄積のみにより規定されるのではなく、腹水中においても腫瘍微小環境の影響を強く受けていることを示唆している。更に癌関連繊維芽細胞(CAF)から抽出したextracellular vesicles (EVs)が発現するAnnexinA6はIntegrinβ1を細胞膜上に安定化し、細胞外マトリックスとの相互作用を介したFAK/Aktシグナル活性化により抗癌剤への抵抗性を示すことを明らかにした。腹膜播種モデルマウスを用いた検証において、CAF-EVsが促進するFAKシグナルが抗癌剤抵抗性獲得に関わることを示した。現在は胃癌洗浄細胞診より得られた腹水より、DNA、RNA、EVsを抽出し、予後や腹膜再発に関与する分子生物学異常を同定し検証中である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Gut
巻: 69 ページ: 18~31
10.1136/gutjnl-2018-318070