研究課題
2018年は膵癌における機能性RNAネットワークを解析するためマイクロRNA発現プロファイルを用い、miR-148a、miR-124、miR-204、miR-130bの癌抑制効果を検証し、新たに膵癌遺伝子としてPHLDA2、ITGA3/B1、RACGAP1、EPS8が影響を与えるRNAネットワークを探求した。このことは、新たな予後解析因子及び治療標的因子の候補を見出すに至った。また、食道癌におけるmiR-145の癌抑制効果、乳癌におけるmiR-204の癌抑制効果を証明し、それぞれの癌腫における機能性RNAネットワークを探求した。特にmiR-204は膵癌・乳癌における機能解析から多くの癌腫で抑制効果を示すことが予想され、汎悪性腫瘍に対して重要な機能を持っていることが示唆された。2019年は現在使用しているマイクロRNA発現プロファイルのグレードアップのため、新たに臨床検体の収集を開始した。新たなマイクロRNA発現プロファイルには、今までの癌部 vs 非癌部の比較だけではなく、化学療法の有無、放射線療法の有無、更に術前化学療法効果判定を考慮した個別でのプロファイルを予定しており、新たな分子標的治療発見の可能性を期待している。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題の目的としている内容で新たな知見を認め、論文発表に至ることができた。本研究を継続することで更に膵癌の分子機構が解明することができると考えられる。しかしながら、現在では基礎研究の段階から臨床研究への移行は行えておらず、今後の課題であると思われる。
今後は現在のマイクロRNAの基礎研究を進めつつ、臨床病理学的因子を含めた解析を予定している。予後解析のみならず、化学療法や放射線療法とマイクロRNAの関連や、肥満・栄養状態などを含めた広域での解析を行い、膵癌の分子病態に関わる機能性RNAネットワークを見出すことで、新規治療・評価法の検討を行う。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
Int J Oncol
巻: 54(2) ページ: 673-688
10.3892/ijo.2018.4657
J Hum Genet
巻: - ページ: -
10.1038/s10038-019-0584-6
Cancers (Basel)
巻: 11(3) ページ: pii: E327
10.3390/cancers11030327
Cancer Science
巻: 109(6) ページ: 2013-2026
10.1111/cas.13610.
Oncotarget
巻: 9(48) ページ: 28849-28865
10.18632/oncotarget.25599
巻: 63(12) ページ: 1197-1210
10.1038/s10038-018-0510-3