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2018 年度 実施状況報告書

腸管虚血再灌流障害における新規自然炎症経路NLRP3インフラマソームの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16329
研究機関自治医科大学

研究代表者

井上 賢之  自治医科大学, 医学部, 助教 (80375279)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード腸管虚血再灌流障害 / NLRP3インフラマソーム / 血管内皮細胞
研究実績の概要

申請者らのグループは、腸管虚血再灌流障害において、NLRP3インフラマソーム依存的なIL-1βが重要な役割を果たすことを見出した。しかし、NLRP3欠損では腸管の炎症は軽減されず、血清中の炎症性サイトカイン濃度も野生型マウスと比較して差を認めなかったことから、腸管虚血再灌流に続発する遠隔臓器障害が生存に寄与する可能性を考えた。遠隔臓器(心・肺・肝・腎)障害の評価では、腸管虚血再灌流は続発する遠隔多臓器障害を引き起こし、NLRP3欠損マウスにおいて肺障害のみが顕著に抑制されていたことから、生存率の差は肺障害の差であることが判明した。肺では、NLRP3欠損により炎症、酸化ストレス、血管透過性の亢進が劇的に抑制されていた。病態における骨髄由来細胞の役割を検討するために、好中球除去や骨髄移植を行いそれらの役割を確認したところ、好中球除去により肺障害は軽減されず、骨髄由来細胞よりも非骨髄由来細胞が重要な役割を果たしているという結果であった。続発性肺障害における血管透過性の亢進は、血管内皮細胞障害が主因であるため、肺血管内皮細胞におけるNLRP3発現に注目した。腸管虚血再灌流後に、肺からCD45陰性CD31陽性の血管内皮細胞を単離し、NLRP3が蛋白レベルで発現していることを確認した。さらに、これらの肺血管内皮細胞がNLRP3インフラマソーム活性化の機構を持ち、IL-1βを産生することを明らかにした。腸-肺の臓器連関を繋ぐメディエーターを検索するために、腸管虚血再灌流直後の門脈血を用いてLC/MS解析を行い、12-HETE、11-HETE、13-HODEを抽出し、これらの脂質メディエーターが、肺血管内皮細胞においてNLRP3インフラマソームの活性化を増強することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文投稿済みで、現在Revise対応の実験を行っている。

今後の研究の推進方策

腸管虚血再灌流直後の門脈血を用いてLC/MS解析を行い、12-HETE、11-HETE、13-HODEを抽出し、これらのメディエーターが、肺血管内皮細胞においてNLRP3インフラマソームの活性化を増強することを明らかにしたが、メカニズムは不明である。今後は、これらの脂質メディエーターがどうような機序でインフラマソームを活性化するのか検討する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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