研究課題/領域番号 |
18K16333
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高田 英志 日本医科大学, 医学部, 助教 (70591262)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PDIA3 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
本研究の目的はHCCにおけるprotein disulfide-isomerase A3(PDIA3)の役割を解明し、HCCの診断・治療への臨床応用を目指すことである。これまでの研究でPDIA3の高発現がHCCの不良な予後に関与していることが示されており、また腫瘍細胞の細胞増殖やアポトーシス抑制に関与することが分かっている。前年度の研究にて、2種類のヒト肝細胞癌培養細胞株(HuH-7、Li-7)にPDIA3の発現を確認し、siRNAを導入し、PDIA3の発現を抑制した細胞株の作成をおこなった。また、細胞増殖の評価としてcell proliferation assayをおこない、PDIA3を抑制した細胞株では有意に細胞増殖が抑制されていることを確認した。さらなる確認としてimmunofluorescence stainingki-67陽性細胞をカウントしたところ、PDIA3を抑制するとKi-67陽性細胞が有意に少ないことが認められた。前年度の研究にてPDIA3の細胞増殖への関与が示され、本年度はPDIA3のアポートーシス抑制への関与を検討した。細胞増殖の研究と同様にHuH-7、Li-7の2種類のヒト肝細胞癌培養細胞株にsiRNAを導入し、PDIA3の発現を抑制し、Apoptotic & Necrotic & Healthy Cells Quantification Kitを用いてアポトーシスに至った細胞の同定をおこなった。培養開始72時間後において、HuH-7、Li-7のいずれの細胞株においてもPDIA3を抑制した群では、抑制していない群と比較して有意にアポトーシスに至っている細胞数が多い結果であった。以上実験結果よりPDIA3がHCCにおけるアポトーシス抑制に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HuU-7,Li-7の2種類のヒト肝細胞癌培養細胞株においてsiRNAをもちいたPDIA3の抑制を順調に行うことができた。また、PDIA3の役割として考えられている細胞増殖とアポトーシス抑制において、本年度はアポトーシス抑制について検討したが、PDIA3の発現を抑制するとアポトーシスをきたす細胞が増えることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
PDIA3はこれまでの研究で神経変性疾患への関与がいわれており、ハンチントン病においてPDI阻害剤(16F16)の検討がなされています。これまでにHCCに対するPDI阻害剤投与による影響の検討はなされておらず、ヒト肝細胞癌培養細胞株(HuH-7,Li-7)にPDI阻害剤を投与し、細胞増殖、アポトーシスの変化を明らかにしていく予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の物品を使用したため、次年度使用が生じたものと思われます。翌年度分として請求した助成金と合わせ、今後の研究費として使用予定です。
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