研究課題
本研究の目的はHCCにおけるprotein disulfide-isomerase A3(PDIA3)の役割を解明し、HCCの診断・治療への臨床応用を目指すことである。これまでの研究にて、2種類のヒト肝細胞癌培養細胞株(HuH-7、Li-7)においてcell proliferation assayおよびimmunofluorescence staining Ki-67にてPDIA3を抑制すると細胞増殖が抑制されることを確認した。さらに、Apoptotic & Necrotic & Healthy Cells Quantification Kitを用いたアポトーシスの評価ではPDIA3を抑制すると、PDIA3を抑制した群において有意にアポトーシスに至っている細胞数が多い結果であり、PDIA3がHCCにおけるアポトーシス抑制に関与している可能性が示唆された。今回、ヒト肝細胞癌培養細胞株におけるPDI阻害剤(16F16)の効果の検討をおこなった。両細胞株において16F16を投与すると細胞増殖は抑制される傾向はみられたが、有意な抑制はみられなかった。HCCの細胞増殖においてmTOR経路が重要な役割をすることが知られており、PDIA3はmTORと複合体を形成し、シグナル経路の調節に関与するといわれている。そこで、mTOR阻害薬であるEverolimusを用いて細胞増殖の検討をおこなったところ、いずれの細胞株においても細胞増殖抑制効果が確認された。
4: 遅れている
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、実験の進捗に支障をきたした為。
PDIA3の機能を阻害する16F16として知られる小分子は、mTORC1複合体を不安定化させ、mTOR 阻害剤のEverokimusの抗腫瘍効果を増強する可能性があり、併用による細胞増殖抑制効果の検討をおこなう
新型コロナウイルス蔓延につき研究の遅延が生じた為。引き続き研究および学会発表、論文作成に使用予定です。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
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