膵癌は切除後S-1による半年間の補助治療が推奨されているが,補助治療による予後改善効果が得られない症例が少なからず存在する.本研究によって得られた因子は,膵癌切除後のS-1による上乗せ効果が期待できない症例の選別に有効である可能性がある.また得られた2因子はいずれも1炭素代謝(葉酸代謝及びメチオニン代謝)に関与する因子である.本因子の欠落により,S-1の効果を発揮する上で必要とされるメチレンテトラヒドロ葉酸の合成が低下することで感受性が低下するものと考えられた.本研究結果は抗癌剤のレジメン変更についての検討や,感受性を高めるために必要なアプローチを検討する上でも有用な研究になったと考えられた.
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