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2019 年度 実施状況報告書

肝細胞癌、膵癌に対する新規Galectin-3阻害薬を用いた治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 18K16342
研究機関群馬大学

研究代表者

五十嵐 隆通  群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (20648472)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードGalectin-3阻害薬 / 肝細胞癌 / 膵癌
研究実績の概要

以前われわれは膵癌細胞株を用いてgalectin 3をsiRNAにて抑制したところ、膵癌細胞株の浸潤抑制を認めた(文献1:Int J Cancer. 2011 Dec 15;129(12):2775-86.)。そこで阻害剤の有効性を検討した。これまでのGalectin-3阻害薬は細胞外でworkするもののみであり、今回我々は癌で薬剤活性が得られるよう細胞内外でworkし、従来の阻害薬の約5000倍の親和性を持つ競合阻害剤を新規開発した。7種類の類似化合物を合成し、複数の肝胆膵癌細胞株を用いた検討で、有望なGalectin-3阻害薬として7種類中3種類を同定した。研究協力機関である北海道大学と協議し、最も有望な1剤を大量精製し検討に用いた。文献1の検討では増殖は抑制しなかったが、新規阻害剤は増殖能も容量依存性に抑制し、強力な阻害作用を有しているものと考えられた。正常肝細胞に対する影響の検討で、新規Galectin-3阻害薬はヒト正常肝細胞(PXB-Cell)への毒性を認めなかった。 In vivoにおいて、新規Galectin-3阻害薬の200ng/day腹腔内連日投与により膵癌マウス皮下腫瘍の増大は抑制されたが、マウスの体重に影響を及ぼさず、良好な忍容性を確認した。また、ヒト膵癌細胞株Suit2を用いたCAGE解析により、Galectin-3阻害剤は核内で作用しDNA複製や細胞周期に関与する要素が抑制されていることが明らかとなった。
今後臨床応用を目指すため、更に効果の高い薬剤の開発に着手し、今年度新たに6つのGalectin-3阻害剤を合成し、うち1剤で膵癌細胞株の増殖抑制を確認した。また、in vivoでの検証向けて複数癌腫のPDXマウス作成・樹立を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は新たに6つのGalectin-3阻害剤を合成し、うち1剤で膵癌細胞株の増殖抑制を確認した。以前の化合物と同等の薬効を示す新たな薬剤の開発には成功したが、まだ臨床応用においては薬効が弱いと考えられ、更なる改良を進めている。In vivoで用いるPDXマウスについて、IPMCのPDX作成に成功、その後第二世代のマウスに移植を行い生着、現在第三世代のマウスに移植し生着を待っている。また、新たに胆管癌症例から腫瘍移植を行い生着を待っている。

今後の研究の推進方策

更に薬効の高いGalectin-3阻害剤を目指し、開発を継続するとともに、当科での薬効検証実験を継続・発展させる。In vitroでの薬効評価を見据え、今後は胆管癌、膵癌のPDXを樹立することを目指す。既にGalectin-3阻害薬の大量精製体制は確立されている。またPDXモデルの作成手技も確立しつつある。当教室の強みである臨床検体を最大限活用し、Galectin-3阻害薬の臨床応用へと繋げていきたい。

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公開日: 2021-01-27  

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