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2018 年度 実施状況報告書

非ウイルス性肝細胞癌の病態解明を目的としたトランスレーショナル・リサーチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K16350
研究機関三重大学

研究代表者

加藤 宏之  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50737004)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード予後不良肝癌 / 虚血再灌流障害 / 細胞外マトリックス
研究実績の概要

非ウイルス性肝細胞癌は、しばしば短期間で巨大肝腫瘤を形成し根治切除が行われても、術後早期に残肝転移、縦隔転移、肺転移を来すことがあるが、このような転移進展形式は通常のウイルス性肝細胞癌では極めて稀である。今回、術後早期に急激な再発をきたし病巣制御が困難となる症例において肝癌の大きさやウイルス、術前栄養状態などが関連しているかどうかについて検討した。【方法】2007年1月から2016年5月までに初回肝切除が施行されたHCC169例のうち、因子解析が可能であった138例を対象とした。Fluminant HCCを術後3ヶ月以内に早期再発をきたした症例と定義し、その予後と臨床的特徴について検討した。【結果】Fulminant HCCは19例(13.7%, 19/138)と比較的高率に認められ、背景肝は非ウイルス性8例、HCV7例、HBV4例だった。その予後は極めて不良で術後中央生存値は2ヶ月で1年生存率13%、2年生存率は認めなかった。一方non-Fluminant群 (119例)の3年生存率は85%、5年生存率は70%であり予後はFulminant HCCに比して良好であった (p<0.0001)。Fulminant HCCを周術期に選別すべく危険因子解析を行ったところ、単変量解析では術前低Albumin値(p=0.029)、術前血中高ヒアルロン酸値 (>125ng/mL,p=0.01)、出血量増多(p=0.008)が危険因子として挙げられ、多変量解析では術前血中ヒアルロン酸値(>125ng/mL)のみが有意な危険因子として選ばれた。ヒアルロン酸は肝臓の線維化マーカーであり、腫瘍の細胞外マトリックス量と相関している可能性が示唆された。現在 MMP2やMMP9,テネイシンCなど免疫染色によりヒアルロン酸と細胞外マトリックスとの相関関係を腫瘍部で確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回の臨床研究において肝切除後急激な再発をきたすような肝癌は術前より血中ヒアルロン酸が高値であることを証明し有意な予後規定因子であることを証明した
これにより、ヒアルロン酸は肝臓の線維化マーカーであり、腫瘍の細胞外マトリックス量と相関している可能性が示唆されるため現在 MMP2やMMP9,テネイシンCなど免疫染色によりヒアルロン酸と細胞外マトリックスとの相関関係を腫瘍部で確認している。これらの事実が証明できれば予後不良肝癌の分子生物学的動態を解明する一助になり、また術前にどのような肝癌が術後早期再発をきたすかを解明するきっかけとなることが予想される。また今後は基礎的研究を遂行していく予定であるが、現状では教室の人員の問題などがあり開始できていないので、早急に人員を確保し基礎的研究を開始したいと考えている

今後の研究の推進方策

本研究の目的である予後不良肝癌と虚血再灌流傷害との関連性についてさらに解明していく。臨床的には術中の肝十二指腸間膜遮断(プリングル氏法)のTotal時間と術後再発との関連性について手術記録、麻酔記録をもとに解析する。基礎研究ではストレプトゾトシン(STZ)投与と高脂肪食負荷の組み合わせにより全例がNASHを経て肝がんへ進行するSTAMマウス (NASH-HCCモデルマウス) を用いて肝虚血再灌流傷害モデルを作成し肝細胞癌の術後の動態をPET/MRI(TriFoil社)を用いて評価する。肝障害の評価として血液検査-GOT/GPT 肝組織検査-H&E染色、マクロファージ (CD11b)、好中球 (Ly6G)の免疫染色 肝アポトーシスの指標としてCaspase3, 9の免疫染色、TUNEL染色を行う。また肝再生に関してはPCNA, CyclinD1, Phosphorylated Histon3 などの染色、ウエスタンブロットを行い評価する。

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公開日: 2019-12-27  

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