胃癌手術中に腹腔内散布された癌細胞、特にCD44陽性癌幹細胞様細胞に焦点を当て、術中腹腔内散布癌細胞が腹膜転移を形成する機序の一端を解明するため、1)CD44陽性がん細胞の幹細胞性 2)CD44陽性癌幹細胞様細胞の造腫瘍能 3)手術炎症環境下における腹腔内胃癌細胞の造腫瘍能を調べた。 CD44陽性胃癌細胞は、多能性やCD44陰性胃癌細胞への分化能を有し、造腫瘍能もあるがん幹細胞性をもつ細胞であった。一方、CD44陰性細胞は、腹腔内環境においてCD44陽性細胞へと変化する可塑性を持っていた。特に腹膜への炎症は、CD44陰性細胞をCD44陽性細胞へと変化させ腹膜転移能を付与すると考えられた。
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