研究実績の概要 |
高難度化する鏡視下直腸癌手術の均てん化のためには、評価・解析に活用可能な手術手技のデジタル化や、それに基く手術支援システムの開発が必要である。本研究では、手術映像における手技をデジタル化した上でデータセットとし、手術器具や解剖構造、手術工程などを画像認識、解析するシステムの構築を行い、臨床への活用へ繋げる。 2018年度の実施内容としては、①鏡視下直腸癌手術映像の収集、②ラベリング項目の決定(術具の名称、手術工程の名称、解剖構造の名称など)、③ラベリング作業、について予定通り実施した。 ①においては、国立がん研究センター東病院において鏡視下直腸癌手術が行われた症例の手術映像を442例収集した。②においては、術具:Point dissector, Linear dissector, Grasper, Maryland, Clipperの5種類、手術工程:TME(Total Mesorectal Excision), Medial mobilization of colon, Lateral mobilization of colon, Dissection of mesorectum、解剖構造:IMA(Inferior Mesenteric Artery)、尿管、前立腺をそれぞれラベリング項目として設定した。③においては、手術動画から抽出した静止画に対し、術具のPoint dissectorを926枚、手術工程を1,957,100枚、IMAを234枚、尿管を333枚、前立腺を295枚、それぞれラベリングを行いデータセットを作成し、教師データとした。 試験的に実施した機械学習の結果、Point dissectorでIoU:0.689、手術工程でAccuracy:0.835、IMAでIoU:0.532、尿管でIoU:0.331、前立腺でIoU:0.194の精度で予測モデルが構築された。
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