研究課題/領域番号 |
18K16378
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
竹下 修由 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 室長 (40645610)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内視鏡外科 / 直腸癌 / 機械学習 / 画像認識 |
研究実績の概要 |
高難度化する鏡視下直腸癌手術の均てん化のためには、評価・解析に活用可能な手術手技のデジタル化や、それに基づく手術支援システムの開発が必要である。本研究では、手術映像における手技をデジタル化した上でデータセットとし、手術器具や解剖構造、手術工程などを画像認識、解析するシステムの構築を行い、臨床への活用へ繋げる。 2020年度の実施内容としては、AI自動技術評価システムの開発に向け、③ラベリング作業、④機械学習とバリデーション、⑤作業・工程解析と定量化について予定通り実施し、⑥手術支援・評価システムの開発について2021年度の予定を先行して実施した。 ③においては、本研究のメインターゲットと考えるtaTME(経肛門的全直腸間膜切除術)の手術動画45例を対象に、それぞれから5動画ずつ評価対象動画を切り出し、計225動画を使用した。経験症例数が10例以下の執刀医が施行したもの、10-30例の執刀医が施行したもの、30例以上の執刀医が施行したもの、それぞれに分類しラベリングを行い、さらに手術時間の情報のラベリングも実施した。 ④においては、45症例、計225動画を使用し、180動画を学習、45動画をバリデーションとした。Rubricという手術技能評価指標による評価スコアがタグ付けられた各動画に対し、動画内の時系列情報も含めた3D-CNNによる深層学習を行った。 ⑤においては、Rubric評価のLoading the needle, Atraumatic needle passage, Planned suture path, Overall performanceの4つの評価項目でそれぞれ1-3のスコアリングをマニュアルで実施した。 ⑥においては、マニュアルアノテーションによるRebricスコア、手術時間、外科医の経験症例数それぞれと強い相関を持った手術技能評価用の深層学習モデルが構築された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、研究計画調書で提示しているマイルストーンにおいて、2020年度に実施する項目として、③ラベリング作業、④機械学習とバリデーション、⑤作業・工程解析と定量化については予定通り実施することが出来ている。③ラベリング作業においては、taTMEを対象とした手術技能評価目的のラベリングとして、動画のまま解析するという新たなアプローチで、経験症例数や手術時間を紐づけた動画データのラベリングを行い、機械学習のプロセスに進んだ。④機械学習とバリデーションにおいては、動画内の時系列情報も含めた3D-CNNという新規性の高い深層学習を行った。⑤作業・工程解析と定量化においては、Rubric評価のLoading the needle, Atraumatic needle passage, Planned suture path, Overall performanceの4つの評価項目でそれぞれ1-3のスコアリングをマニュアルで実施した。 ⑥手術支援・評価システムの開発においては、当初2021年度の実施予定としていたが、これまでの①-⑤の研究項目の進捗が良好であったため、予定を繰り上げて2020年度の実施とした。新規性が高く探索的な部分もある解析であったが、幸いにもマニュアルアノテーションによるRebricスコア、手術時間、外科医の経験症例数それぞれと強い相関を持った手術技能評価用の深層学習モデルが構築され、AIによる手術の自動評価システムとしてFeasibleなものであった。 taTMEの手術工程認識システムの開発についてはSurgical Endoscopyにアクセプトされており、taTMEの技術評価システムの開発については現在論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究進捗は良好であり、特に課題は認識されていない。2021年度は最終年度となるため、データの整理と成果報告に注力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、学会や会議に参加するための旅費がかからなかった。 技術評価のためのモデル構築において、セグメンテーション画像では動画像をそのまま使用したため、アノテーション作業コストが想定よりもかからなかった。
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