研究課題/領域番号 |
18K16382
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小渡 亮介 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20792477)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人工心肺 / マイクロバブル / 心臓手術 / 心臓外科 / 人工肺 |
研究実績の概要 |
2020年度はヒト血液を用いた閉鎖回路での人工心肺実験と、ブタを用いた大型動物実験を予定していた。いずれも、通常の人工心肺回路で血液を循環させた場合と、その回路にマイクロバブル発生装置を組み込んで循環させた場合の比較試験を行う予定であった。マイクロバブル発生装置を作動した後の血液酸素分圧を計測し、酸素化能の評価を行い、また二酸化炭素分圧を調べ、二酸化炭素レベルに変化があるかを計測する予定であった。さらに、以前の気泡型人工肺で問題となっていた血液溶血がマイクロバブル発生装置ではどの程度起こるのか、採血による生化学試験に加えHemocue(ラジオメーター株式会社)で血液溶血レベルを経時的に検査し、評価することでマイクロバブル発生装置を利用した気泡型人工肺が臨床応用可能かを実証する予定であった。 しかし新型コロナウイルス流行のため、人工心肺回路そのものの供給状態が不安定になり、臨床での手術予定も変更せざるを得ない状況であった。企業からも、回路供給が不安定なため、可能な限り2020年度は臨床以外での回路使用を控えてほしいとの要望があった。他部署や不特定多数が関わる実験に関しても可能な限り控える自施設の方針もあり、2020年度施行予定であった実験は2021年度に延期する方針とした。2021年度の実験に備え、高粘度液体でも使用が可能な多孔質セラミックを活用したファインバブル発生装置(セラポールリアクター 株式会社ノリタケカンパニーリミテド)を購入し、より臨床で使用することを意識した回路に現在改良中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染流行のため、実験施行に必須な人工心肺回路の供給が不安定であり、実臨床以外での使用が実質不可能であったため実験が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年6月頃には人工心肺回路を実験でも供給可能になる予定であり、そこから集中的に、10月までに予定の実験を行っていく。2020年度に本来施行予定であったヒト血液による閉鎖回路実験と、ブタなど大型動物を用いてマイクロバブルでの酸素化能の評価を行う。また、溶血の有無やその程度が臨床での実用化が可能か検証するため、採血による生化学検査に加え、Hemocue(ラジオメーター株式会社)を用いて経時的な溶血の定量評価を行う。気泡型人工肺がの大きな問題点であった溶血の程度がマイクロバブル発生装置ではどのように変化するかを評価することが最も重要である。それらを踏まえた実験結果を年度内にPerfusion、Journal of Artificial Organsなど国際誌に投稿し、報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の実験が人工心肺回路供給停止のため不可能であったため、支出額が大幅に減少した。これらを2021年度に繰り越し、2020年度で使用予定であった物品の購入や、実験費として使用予定である。
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