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2018 年度 実施状況報告書

M1マクロファージからM2マクロファージへの形質転換を介した大動脈瘤治療の試み

研究課題

研究課題/領域番号 18K16384
研究機関名古屋大学

研究代表者

緒方 藍歌  名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (70718311)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード大動脈瘤 / 抗炎症性マクロファージ / 培養上清 / エクソソーム / 形質転換
研究実績の概要

本研究計画では、4つの誘導因子、①抗炎症性M2マクロファージ (M2MF)の誘導因子としてリコンビナントタンパクIL-4およびIL-13、②M2MF細胞、③M2MF培養上清(M2MF-CM)、④M2MF由来エクソソーム(M2MF-exo)によるM1MFからM2MFへの形質転換を介した大動脈瘤治療効果について検討するため、以下の計画を遂行した。
計画1:マクロファージ J774A.1 を用い、IL-4, IL-10, TGF-βを培養培地に添加して4日間培養し、M2MFに分化誘導した。M2MFの特性確認として、Arg-1, Ym-1, IL-10遺伝子発現の有意な上昇およびIL-4, IL-10タンパク発現産生亢進を認めた。無血清培地で48時間静置したM2MF-CMを用い、超遠心法にてエクソソームを回収した。透過型電子顕微鏡で直径100nmほどのエクソソームを確認した。細胞1万個あたりのタンパク量は、約2.8μgだった。
計画2:LPSで炎症惹起した炎症性M1MF培養培地に4つの誘導因子を添加または共培養し、M1MFの遺伝子発現量をqRT-PCRで測定した。M1MFに比べて4つの誘導因子は、iNOS, IL-1β, IL-6, MCP-1, MMP-2, MMP-9 遺伝子発現が大きく低下した。その中でも特に①IL-4/IL-13および②M2MF細胞がより低下した。また、この2つの誘導因子は、Arg-1,Ym-1, TGF-β1 遺伝子発現量が上昇した。
計画3:apolipoprotein E遺伝子欠損マウスに、Angiotensin-II4週間持続注入による大動脈瘤モデルマウスを用い、大動脈瘤組織を採取して組織培養を行った。その培養培地に4つの誘導因子を添加または共培養したところ、②M2MF細胞でMMP-9が有意に低下した。これらの結果から、②M2MF細胞が最も効果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、in vitroおよびex vivoにて4つの誘導因子によるM1MFおよび大動脈瘤組織への影響を比較検討し、有用な因子の候補を絞ることを計画としていた。実績の概要からも候補となる因子の絞り込みが完了し、順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

次年度以降では、より強い効果が得られた誘導因子M2MF細胞を用いて、in vivoにて効果を判定する。大動脈瘤モデルマウスにM2MFを静脈内投与または腹腔内投与する。対照群には生理食塩水を用いる。投与開始から 2,4,8週間後に、エコーで瘤最大短径を継時的に測定する。評価は、肉眼所見、顕微鏡下瘤径測定、組織学的評価、生化学的評価)、MMP-2,-9酵素活性測定を行う。また、MF形質転換については、組織切片のM1/M2MF蛍光免疫染色評価や、フローサイトメトリーによる血中M1/M2MF発現量分布測定を行う。もし効果が得られなかった場合は、投与濃度や投与回数、評価時期を再検討する。

次年度使用額が生じた理由

本年度では、in vitroおよびex vivo検討を主体に進めており、in vivo検討に必要な動物飼育管理費を使用しなかった。また、当初予定していた国際学会に参加しなかったため、旅費(外国出張費)を使用せず次年度使用額が生じた。
今後、より強い効果が得られた誘導因子M2MF細胞を用いて、in vivoにて効果を判定するため、動物購入費や飼育管理費、試験試薬費等に使用する。また、国際発表を積極的に行うための旅費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 抗炎症性マクロファージによる大動脈瘤治療の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      緒方藍歌、成田裕司、藤本和朗、碓氷章彦
    • 学会等名
      第18回日本再生医療学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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