研究課題
補助人工心臓(LVAD)装着患者の駆動音データと、臨床的なアウトカムとの関係性に関して、機械学習を用いた予測アルゴリズムを作成した。LVAD装着患者の駆動音を小型高感度マイクで収録し、カスタムソフトウェアを用いて音響信号を解析した。LVADポンプ回転に伴う楽音及びその他のノイズについて、周波数成分と振幅成分等を抽出した。続いて音響データの数値化(特徴量の抽出)、予測因子の選択(重要特徴量の決定)、これらと臨床的に定義したアウトカム(①大動脈弁逆流(AR)、及び②症候性脳梗塞)との比較検討を行った。機械学習による予測モデルの作成と検証を行った。①LVAD装着患者13例より聴取した音響データ(n=245)を解析した。アウトカムは、心エコーにて中等度以上のARを認めた26(10.6%)を「有意」、残り219(89.4%)を「有意でない」と設定した。時間周波数解析を用いて各音響データから19の特徴量を抽出し、その中からアウトカムとの相関が強い4つの重要特徴量を選択した。この重要特徴量を用いて機械学習モデル間の性能比較を行い、アンサンブル学習法にて予測モデルを作成した。交差検定でのモデル性能評価は、陽性的中率86%、area-under-curve 0.71であった。②LVAD装着患者4例より聴取した音響データ(n=81)を解析した。アウトカムは、脳血管合併症の発症1週間以内の音響8(9.9%)を「有意」、残り73(90.1%)を「有意でない」と設定した。時間周波数解析を用いて各音響データから19の特徴量を抽出し、その中からアウトカムとの相関が強い2つの重要特徴量を選択した。この重要特徴量を用いて機械学習モデル間の比較を行い、アンサンブル学習法にて予測モデルを作成した。交差検定でのモデル性能評価は、陽性的中率98%、area-under-curve 0.98であった。
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