研究課題/領域番号 |
18K16389
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐村 高明 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40815510)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞外マトリックス / ラミニン / 心不全 / iPS由来心筋細胞 |
研究実績の概要 |
心筋細胞特異的な細胞外マトリックスであるラミニン221を付加した3次元心筋組織はその代謝・運動機能を向上させ、ラット心筋梗塞モデルにおいて移植後治療効果の向上をきたす事を本研究の仮説として研究を行っている。 In vitroでは、hiPS由来心筋細胞(hiPS-CM)を用いて、収縮弛緩機能、ミトコンドリア機能、低酸素ストレスに対する耐性、免疫染色、心筋構造・Caチャネル・ミトコンドリア関連遺伝子の発現について、ラミニン221付加の有無で評価した。In vivoではhiPS由来3次元心筋組織を免疫不全ラットの梗塞心に移植し、移植後心機能評価、移植4週後に梗塞心におけるサイトカイン関連遺伝子の発現を評価した。 結果、In vitroでは、ラミニン221群では、hiPS-CMの収縮速度、拡張速度有意な増加を認め、ミトコンドリア機能では最大呼吸量の増加を認めた。また、ラミニン221群では低酸素条件下における生存細胞数の増加や細胞障害性低下を認め、低酸素耐性の向上が示された。ラミニン221群は、RT-PCRにてCa関連遺伝子(RYR2)、ミトコンドリア関連遺伝子(PPARGC)の発現増加を認めた。 In vivoでは、8週齢のヌードラットの心臓前下行枝を結紮し心筋梗塞モデルを作成した。10週齢時にhiPS由来3次元心筋組織を移植した(ラミニン付加hiPS由来心筋組織群 vs hiPS由来心筋組織群 vs フィブリンシート群)。心エコー検査では、ラミニン付加hiPS由来心筋組織群は、左室駆出率の有意な改善を認め、移植4週間後に傍梗塞部位におけるサイトカイン関連遺伝子の発現量(VEGF)も他の2群と比較して有意な増加を認めた。 小括として、心筋細胞特異的な細胞外マトリックス ラミニン221を付加した3次元心筋組織はその代謝・運動機能が向上し、ラット心筋梗塞モデルに移植後治療効果の向上を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラミニンに因る、心筋細胞への影響、また移植後の影響を評価できており、十町な経過と考える。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroではラミニンを加えることで低酸素耐性が改善されることに関する評価、In Vivoでは移植組織の生着やレシピエント心との同期などの評価を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進み一部必要な物品等が少なく済んだ為、実験での物品購入に充てる予定。
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