研究課題/領域番号 |
18K16399
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上田 英昭 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50598274)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大動脈弁狭窄症 / 石灰化 / マイクロRNA / エクソソーム |
研究実績の概要 |
世界的な高齢化に伴い循環器の石灰化による疾患が増大してきており、大動脈弁狭窄症 (AS)もその中の一つである。ASでは狭窄弁により血流が乱流となり血管内皮細胞や石灰化弁そのものと接触することでシアストレスが生じており、大動脈弁置換術 (AVR)を行うことで乱流が消失し、シアストレスも軽快することが予想される。 AVR術前はシアストレスによって循環している血球や循環器細胞などが影響を受けており、それらがさまざまな因子を放出している可能性が考えられる。そのため血液中を循環するエクソソームに内在するマイクロRNAや増殖因子も変化しており、大動脈弁の石灰化や循環に影響を与えている可能性が考えられる。AVRを行うことでシアストレスが解消することによりエクソソームに内在する因子も変化して、石灰化や循環に影響を与えている因子がさらに変化する可能性が考えられる。 本研究は、AVRを受ける患者対象の血液検体を長期にわたり採取して、手術前後での様々な因子の変化を解析し、ASにより発生するシアストレスがエクソソーム、マイクロRNAを介して石灰化や血液循環に与える影響を解析する。また患者検体で変化の得られた因子を培養細胞に応用し、循環器系細胞へ与える影響も検証する。 本研究で得られた結果から、循環器細胞の石灰化に影響を与えるマイクロRNAや、ASの循環に影響を与えている因子を検出することができ、今後の予防医学や周術期管理の向上につながると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大動脈弁狭窄症患者の周術期および術後の採血を、20人以上200ポイント以上で採取している。術前と術後の血液検体をマイクロRNAに対する網羅的解析を行っており、有意変化があるマイクロRNAをいくつか検出した。 また、石灰化環境で培養した血管平滑筋が確実に石灰化していることを確認し、通常培地で培養したものとでマイクロRNAの網羅的解析を行い、石灰化に影響を与えていると予想されるマイクロRNAをいくつか確認した。
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今後の研究の推進方策 |
患者検体がある程度以上収集できたので、マイクロRNAの網羅的解析の結果を基に、マイクロRNAおよび増殖因子の解析を進めていく。また導き出された因子を培養細胞に応用して、循環器細胞に与える影響を解析していく。
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