研究課題/領域番号 |
18K16400
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
堀 大治郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (90742461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人工心肺 / 指摘血圧 / 脳自動調整能 / モニタリング / 周術期管理 / 血管内皮機能 / 脈波伝播速度 / 心臓外科手術 |
研究実績の概要 |
心臓大血管手術後に合併し得る腎障害、せん妄や脳梗塞を含めた脳機能障害は院内死亡率、長期生存率そして医療費に多大なる影響を及ぼす。周術期における臓器血流障害が一つの原因として挙げられているが、適切な臓器潅流を保つための「至適血圧」の評価法は未だに確立されていない。当研究では重要臓器に十分な潅流を保つ「至適血圧」の評価法として、近赤外分光法による頭部局所酸素飽和度を用いた脳自動調整能モニタリングに着目し、その有用性、可能性について検討している。周術期脳自動調整能モニタリングを行った66人の心臓血管外科手術患者の検討では脳自動調整能閾値の範囲を下回る血圧管理は術後腎機能障害と関連する事が明らかになった。また脳自動調整能の閾値を規定する因子として血管内皮機能の指標となるFMD検査(血流依存性血管拡張反応検査)、血管硬度の指標となる脈波伝播速度に着目したが、人工心肺を使用する前では血管内皮機能(β―2.19、95%CI ―3.621~―0.755、p=0.0034)が、また人工心肺使用中は血管硬度(β0.01、95%CI 0.001~0.019、p=0.023)が関連していることが分かった。これにより術前の血管機能評価の重要性、また周術期における血圧調整は血管の異なる生理学的機能により制御されていることが示唆された。同結果は第73回日本胸部外科学会学術集会、また論文(Artif Organs. 2021;45(4):382-389)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19の感染予防のため一時研究を休止せざるを得なかったが、現在は再開し、対象症例を86まで増やしている。今後も対象症例において脳自動調整能モニタリングを記録していく予定である。今後脳自動調整能曲線閾値の規定因子としての周術期バイオマーカーについて検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
手術症例を対象とした研究であり、手術室から集中治療室へと脳自動調整網モニタリング機器も移動させる必要がある。そのため病院のCOVID-19症例の受け入れ状態により今後も休止せざるを得ない状態になる可能性もある。感染状況が落ち着いている間に対象症例に対して研究への参加を依頼していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 感染症対応のため病院として研究を自粛する方針となったため、さらなる検体採取が出来なかった。COVID-19感染症も落ち着いたため、現在研究は再開しており今後脳自動調整能曲線閾値の規定因子としての周術期バイオマーカーについて検討していく予定である。
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