研究実績の概要 |
マウス左後下肢を結束バンドで駆血し、簡便で再現性の高い下肢虚血再灌流モデルマウスを作成した。 虚血時間と駆血径を設定し、本実験に最適な条件を設定し、駆血径2cm、虚血時間2時間をえた。 作成した下肢虚血再灌流モデルマウスに対して、1.3%水素ガスを8時間能動的に吸引させた群(H2群)と大気吸入群(C群)で比較検討をした。 ダメージエリアをHE染色をマクロで観察した際に、正常筋細胞の組織像ではない部分と定義した。ダメージエリアは再灌流後4日目に最大となり、H2群ではC群と比して有意にダメージエリアの軽減及び限局化が認められた。再灌流後7日目には再生筋細胞が認められたが、H2群ではダメージエリアが限局していたことを反映し、再生筋細胞も限局して認められた。再灌流後28日目には再生筋細胞は成熟し7日目比して大きくなっており、一部脂肪細胞が筋細胞内に出現していた。C群ではほぼ全ての筋細胞が再生筋細胞であり、脂肪細胞も全体に観察され、正常筋細胞の構造は保てていなかった。一方、H2群では正常筋細胞が多くの範囲で保たれており、限局して再生筋細胞と脂肪細胞が存在していた。 ダメージエリアを免疫染色にて観察すると、浸潤細胞の多くはPax7染色陽性の筋由来細胞であり、そのほかにCD45,Ly6G,F4/80染色陽性のリンパ球、好中球、マクロファージが混在していた。CD45,Ly6G,F4/80染色陽性細胞の数はH2群で有意に減少しており、炎症性サイトカインであるIL-6もH2群で有意に抑制されていた。
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