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2018 年度 実施状況報告書

新規重症下肢虚血モデル確立とMRスペクトロスコピーによる診断及び災害医療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K16404
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

太田 裕貴  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70408376)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード下肢虚血 / 動物モデル / MRスペクトロスコピー / MRI / コンパートメント症候群 / 災害医療 / 血管造影
研究実績の概要

本研究は大きく以下の4課程に大別できる。
①臨床の病態を忠実に再現しうる新規低侵襲下肢虚血モデルを確立する。
②新たな下肢虚血の評価法として高磁場 MRI装置を用いて、ATP(adenosine triphosphate)の代謝を可視化できるMRスペクトロスコピー法により、下肢虚血後の筋組織のダメージを細胞レベルで評価。また、4Kビデオカメラを使用した自由行動下での歩行の状態、超音波エコーを用いた下肢血流の経時的変化、サーモグラフィーを用いた体表皮膚温の計測など、血流だけでは評価しきれなかった下肢の虚血性変化を客観的・非侵襲的に診断する。
③モデル作製及び非侵襲的評価法を確立した後、治療介入実験を行う。
④齧歯類ラットで手技を確立した後、小型霊長類マーモセットで前臨床試験を行うことで早期に臨床応用が可能なトランスレーショナルリサーチを行う。
この研究を実現させるために、今年度は特に、①臨床の病態に則した動物モデルの作製と②非侵襲的下肢虚血評価をげっ歯類ラットで行ったので、その経過を報告する。具体的には①「重症下肢虚血モデル」及び「中等症下肢虚血モデル」の作製に成功した。特に中等症下肢虚血モデルは全身状態への影響が見られず、1ヶ月以上の長期経過観察が可能であることを確認した。②4Kビデオカメラを用いて非侵襲的に歩行の状態を録画し解析する手法を獲得した。さらに録画時の環境を変化させることで新規の行動解析法を見出し、特許出願に向けて準備を整えている状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は研究初年度として、研究計画調書に記載の①臨床の病態に則した動物モデルの作製と②非侵襲的下肢虚血評価をげっ歯類ラットで行った。
①では、血管造影透視装置を駆使し、当初シアノアクリレート含有の塞栓物質を使用することで臨床的重症下肢虚血モデルの作製を行った。モデル作製手術はほぼ全例で成功したが、術後の経過に個体差が見られた。そのため、もう少し虚血の程度が重度ではない下肢虚血モデルの作製を試みた。新規モデル作製のための塞栓物質としてシアノアクリレート含有の塞栓物質はX線透視下においても、コントロールが煩雑なため、他の塞栓物質を検討した。その結果、浅大腿動脈をほぼ全長に渡り阻血させ、下腿の血管は開存させた中等症下肢虚血モデルの作製に成功した。
今後は、「重症下肢虚血モデル」の作製・評価とともに「中等症下肢虚血モデル」の作製・評価も本研究に加えて行く予定である。
この作製に成功したモデルに対し、②の非侵襲的評価法の一つを確立した。
つまり4Kビデオカメラを使用し、ビデオ撮影をいくつかの環境下で行い、その動画を解析した。本法は非侵襲的評価方法としても既報告はなく、環境の変化で行動がより明確に評価できることを見出したため、特許申請に向けて目下、準備中である。

今後の研究の推進方策

初年度の研究成果を鑑み、引き続きモデル作製を行うとともに、非侵襲的評価法の確立を行う。これには特許申請も含まれる。
非侵襲的評価にはフリームービングの動画解析のみならず、MRIによるMRSやMRスペクトロスコピー検査、超音波エコー検査も加えて実施し、下肢血流評価及び、筋組織評価を同一個体で経時的に評価していく。
これら一連の評価方法が確立した後に、治療介入研究へと進んでいく予定である。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の機器に一部変更を生じたため

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公開日: 2021-12-27  

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