研究実績の概要 |
新規下肢虚血モデル確立に関しては、既に発表したラットの尾動脈起始部の易攣縮性(Ohta et al. Scientific Reports 2017)を考慮し、本研究で成功率ほぼ100%且つ低侵襲な血管造影法を確立した。本法は経カテーテル的にあらゆる血管にアプローチ可能であり、脳梗塞や腎不全などの虚血性疾患モデルにも応用可能であることを示した(Ohta et al. Scientific Reports 2021, Mateirals & Design 2022)。また齧歯類のみならず小型霊長類のマーモセットにも応用することによりトランスレーショナルリサーチのプラットフォームを構築した(Ohta et al. PLos One, 2021)。下肢虚血モデル作出に際し、下肢血管造影により血管走行を個体ごとに把握し確実に血流を遮断する再現性の高いモデル作製法を見出した。行動評価として新規に歩行解析システム(特願 2020-196397)を開発し、白黒の血管造影画像からColor-coded summation imageを構築し定量化する方法も確立した。 さらに、血流遮断に用いた塞栓物質にも工夫を凝らし、慶應義塾大学理工学部との共同研究により透視下でも視認可能なマイクロファイバーを開発し特許出願した(特願2019-206618)。 災害医療を見据えたMRスペクトロスコピーによる診断法においては、非侵襲的で客観性の高い診断法を確立し(Ohta et al. Diagnostics 2021)、コンパートメント症候群発症後の経時的変化及び治療介入研究を行なった。同時に測定した血液データより鋭敏に反応することから新規の診断法として有用であることが示された。本研究により早期診断が可能であることが判明したため、今後はより迅速な診断と治療の実現に向けた研究を行なっていく。
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