短鎖解読型次世代シーケンサー(Exome解析)を用いた常染色体優性遺伝形式が疑われるある家系の連鎖解析によって肺がんのドライバー遺伝子の候補として挙がった本家系肺癌発症者のみに共通な新規遺伝子変異4つの遺伝子(MAST1、CENPE、CACNB2、LCT)について、これまで細胞の増殖能、足場非依存性増殖、浸潤能等について実験を行い機能解析を実施した。しかしながら、再現性を持った結果を得ることができなかった。そのため、これら4つの遺伝子以外に本家系における発癌のメカニズム(単純な塩基変化のみならず、遺伝子の構造異常やプロモーター領域のメチル化によるがん抑制遺伝子の不活化といった複雑なゲノム異常やエピゲノム異常)が関係している可能性がある。これら4つの遺伝子についてはExome解析により導き出された候補遺伝子であり、メチル化や構造異常、非コード領域に存在する異常については指摘できていない。そのためwhole genome sequencing(WGS)により非コード領域を含むゲノムを解析することとした。家系内肺癌罹患者から抽出したDNAを用いてshort read sequencingによりWGSを行った(Nocaseq6000 150bp PE)。また、近年開発が進んできたlong read sequencingを用いて同検体についてWGSを行った(Oxford Nanopore)。WGSの解析結果から、家系に特徴的な遺伝子異常について解析を実施した。
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