研究課題/領域番号 |
18K16426
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
常塚 啓彰 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00453100)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 癒着 / 血小板 / アスピリン / 再手術 |
研究実績の概要 |
昨年度に解析した癒着抑制の臨床データを元に,動物実験を行うための準備を進めていった.動物種にはラット胸膜癒着モデルを用いる予定であり,ラットの皮膚を用いて癒着形成に関わる炎症細胞を同定するための抗体についてvalidationを行った.癒着形成時に炎症細胞から放出される血小板関連因子 PDGF-α(sc-9974), PDGF-β(ab16829),そのagonistであるPDGFR-α(ab5460),炎症関連サイトカインであるTGF-β(ab92486)の染色性を確認した.これらのサイトカインは好中球やマクロファージに発現していた.癒着形成における線維芽細胞の同定にはα-SMA(ab5694)を用いて染色性を確認した.また線維芽細胞成長因子としてEGF(ab9695)のが線維芽細胞周囲に発現している事を確認した.癒着形成の線溶系サイトカインとしてplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1, ab66705)の免疫染色を行い,筋組織等の間質細胞に発現している事を確認した.免疫応答細胞であるB細胞/T細胞の同定には,CD4(SP35),CD8(CB/144B),CD3(F7.2.38)を用いて染色性を確認した. 「アスピリンによる再開胸手術時の癒着抑制効果」の演題名で第36回呼吸器外科学会(大阪)で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットの皮膚でのvalidationを追加したためやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
ラット胸膜癒着モデルを用いて,抗血小板剤の薬剤投与による癒着形成の抑制効果を検証する予定である.ラットに癒着処置を行い,アスピリン(20mg/kg/day),クロピトグレル(10mg/kg/day),ダビガトランエテキシラート(15mg/kg/day)を内服後,2週間後に再開胸し癒着の距離を測定し,コントロール群と比較する.また同部位のパラフィンブロックを作成し,組織学的な違いを検証する.癒着形成時に放出される炎症性サイトカインである血小板関連因子 PDGF-α, PDGF-β,PDGFR-α,TGF-βや,線維芽細胞が抑制されていると予想する.リンパ球等の免疫応答細胞は血小板放出サイトカインを介さずに活性されるため,コントロール群と抗血小板薬内服群には差が見られない可能性がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
額が少なくその範囲内で購入することが出来ず、次年度の経費と合算して必要な物品の購入費用に充てるため。
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