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2018 年度 実施状況報告書

化学肺臓炎ARDSに対するVV-ECMO下の肺洗浄とサーファクタント補充療法

研究課題

研究課題/領域番号 18K16427
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

橋本 浩平  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70464964)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード体外膜型肺 / ECMO / 急性呼吸促拍症候群 / ARDS
研究実績の概要

2018年度は、体外膜型肺(extracorporeal membrane oxygenation, ECMO)の動物実験の理論的背景となる調査・研究を進めつつ、動物実験のセットアップを同時進行で行った。ECMOの臨床の使用に関する研究として、Intraoperative Extracorporeal Support during Lung Transplantation in Patients bridged with Venovenous Extracorporeal Membrane Oxygenation (The Journal of Heart and Lung Transplantation 2018; 37:1418-1424)を発表した。また、同論文を第35回日本呼吸器外科学会のinternational plenary sessionにて発表した。本研究は、肺移植待機患者の急性呼吸不全に対するvenovenous ECMOの使用に関する研究であり、とくにカニュレーションの方法や、回路の組み方(configuration)、いくつかの回路の組み方の比較、とくに回路の組み方によって、移植後の臨床的アウトカムがどうであったかを比較した論文である。急性呼吸不全の際には、venovenous ECMOが第一選択であるが、カニュレーションをどの血管に、脱血・送血をどのように設定するか、回路をどのように組んでいくかは、臨床の結果に直接結びつきうる非常に重要な部分であり、本研究の成果は同領域の今後の発展に貢献できるものと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年度4月に研究者自身の常勤先の異動があり、勤務先の新たな環境を整備する都合で予定していたエフォートを一時的に研究に回せなかったことがあり、2018年度の特に上半期は研究の進行が予定より遅れた結果となった。その中でも、venovenous ECMOの理論的な研究は進め、データとしては研究者が以前勤めていたところのものではあるが、論文の発行と研究を行うところまで至った。
また、研究環境のセットアップに関しては、動物実験環境の整備・購入や、本実験の理論的な背景に関わる研究、及び今後の動物実験でも必要になるデータ入力・解析・モニタリング器機・記録媒体などの整備を行った。動物実験に関しては、実験のプロトコールを作成して、院内の倫理委員会に提出した。また、veno-venous ECMO のラットモデルの確立を目指している国内のグループにコンタクトを取り、実際の実験を見学してきた。モデルは、これまで既存の論文の発表はなく貴重なもので、実際の実験やそのセットアップ(回路・ポンプ・膜型肺・カニュレーションの血管の選択・手術器具・モニターや維持の方法)を実際に見学できことは、貴重な機会であった。見学先のモデルを使用する際には、今後共同研究の形をとる可能性がある。

今後の研究の推進方策

今後の方針に関しては、まずはvenovenous ECMO のラットモデルの確立と、同時にラットの胃液の吸入による誤嚥性肺炎/化学肺臓炎(aspiration pneumonitis)・呼吸促拍症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)のモデルの確立を行う。特にvenovenous ECMO のラットモデルに関しては、前述のように既存の確立されたモデルがないので、たとえ共同研究という形をとったとしてもエフォートと時間を割く必要がある。また、ARDSモデルに関しては、誤嚥が特に臨床的にもあり得るシナリオであり想定している。ラットの胃を切開して直接胃液を抽出して気道内に散布する予定である。それぞれが、安定したモデルとなったら、ECMOを要する重症aspiration pneumonitisによるARDS に対する肺の洗浄とサーファクタント治療の検討を開始する。ラット(300g前後、各群N=10)A群)ECMO only  B群) ECMO + surfactant  C群)ECMO + lavage + surfactantとして、治療効果として酸素化・コンプライアンス、肺水腫の評価(wet/dry ratio)、移植グラフト片を用いた病理学的変化、肺胞洗浄液や肺組織における炎症サイトカインなどを評価する予定である。また、肺胞洗浄液からは、サーファクタントの機能としてSurfactant biophysical functional analysis を評価し、サーファクタント阻害因子の指標であるsecretary phospholipase A2 とタンパク量を計測する。ラットの研究が終了したら、ブタ(30kg前後、各群N=4)モデルによって同様の実験を行う予定である。研究結果は、国内・国外の外科・呼吸器外科・移植関連の学会、及び論文での発表を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

大きな原因としては、研究者自身の常勤先の異動があり、勤務先の新たな環境を整備する都合で予定していたエフォートを一時的に研究に回せなかったことである。また、予定していた学会に参加できず、旅費の支出が予定より減った。動物実験そのものは開始しておらず、予定していた動物や動物設備に対する費用はかかっていないものの、一方で動物実験を開始するための環境整備に出費が必要となり物品費を要した。今後の使用計画としては、使用するラット用の回路や膜やポンプ・手術器具を購入するため、物品費を利用する。動物実験が開始したら、動物そのものへの出費が集中的に必要になる。また、今後もモデルの見学や導入のために旅費・人件費を利用する予定である。研究成果の発表や討論でも、旅費を利用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Intraoperative extracorporeal support during lung transplantation in patients bridged with venovenous extracorporeal membrane oxygenation2018

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto Kohei、Hoetzenecker Konrad、Yeung Jonathan C.、Jeagal Luke、Donahoe Laura、Pierre Andrew、de Perrot Marc、Yasufuku Kazuhiro、Waddell Thomas K.、Keshavjee Shaf、Cypel Marcelo
    • 雑誌名

      The Journal of Heart and Lung Transplantation

      巻: 37 ページ: 1418~1424

    • DOI

      10.1016/j.healun.2018.07.003

    • 査読あり
  • [学会発表] Selection of intraoperative cardiopulmonary support during lung transplantation in patients bridged with veno-venous ECMO2018

    • 著者名/発表者名
      K Hashimoto, K Hoetzenecker, L Jeagal, J Yeung, L Donahoe, A Pierre, M de Perrot, K Yasufuku, T Waddell, S Keshavjee, M Cypel
    • 学会等名
      第35回日本呼吸器外科学会

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公開日: 2019-12-27  

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