研究課題
慢性進行性肺疾患に対する肺の再生医療が期待されており、肺組織移植は肺再生手段の1つとなりうる。研究グループは、筋・ 神経・血管をユニットとして再構築する能力を有する骨格筋間質由来多能性幹細胞と吸収性ポリグリコール酸(PGA)フェルトの ハイブリッド移植を用いて、移植細胞群を定着させることが困難な気管欠損部や気管支断端を修復することに成功した。一方、 マウスにおいてドナー肺組織を生体適合性ゲル化物質とともにレシピエントの肺に充填する手技を確立している。細胞外基質の 乏しい肺においてPGAとゲル化物質がscaffoldとなって、生着率の上昇を期待出来る。骨格筋間質由来多能性幹細胞とともに胎仔肺組織をマウスの肺に移植することにより、生着率の高いマウス肺組織移植モデルの確立することが、本課題の目的である。2019年度は移植片が生着するまでの変化を詳細に検討した。マウス気管並走移植モデルでヘモグロビン小胞体を投与し、気管上皮下の血流を観察した。ドナーの輪状軟骨下から分岐部までの気管を摘出し、同系レシピエントの気管に2カ所で端側吻合した。尾静脈からヘモグロビン小胞体溶液(Hb濃度10 g/dL) 0.3mlを投与した後、3、6、12、24時間で犠牲死させ、気管を切り出しHE染色して気管断面を観察した。 術後、3時間後までにヘモグロビン小胞体と考えられる微粒子を上皮下血管内に認めるようになり、再潅流を確認した。電子顕微鏡による観察で微粒子がヘモグロビン小胞体であることを確認した。6時間経過すると赤血球の再灌流が観察出来た。
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