研究課題
若手研究
腫瘍細胞は、正常組織・細胞と比べ、大量のグルコースを取り込むが、それを完全には酸化しない傾向がある。同時に乳酸産生が高い。この特徴的な代謝形質はワールブルグ効果と呼ばれ、現象としては広く知られているが、その意義は未だ定まっていない。本研究では、ワールブルグ効果が腫瘍微小環境に及ぼす影響を解析し、腫瘍細胞に非自律的なワールブルグ効果のがん促進作用を明らかにすることを目的として、検討を行った。その結果、腫瘍細胞の代謝に、免疫系による自身への攻撃を和らげる作用があることが示唆された。
呼吸器外科学、腫瘍学
今回得られた結果は、腫瘍ワールブルグ効果をターゲットする新規イムノセラピー開発への途を拓くとともに、自身に対する免疫寛容の誘導こそがワールブルグ効果が腫瘍にもたらす真のメリットであることを示唆している。腫瘍学分野にて長年の謎となっていたワールブルグ効果の真の意義解明の端緒となる成果を得るとともに、新規イムノセラピーの開発にも通じる重要な知見を得ることができた。