これまでの研究結果から、慢性期の神経障害性疼痛モデル(spinal nerve ligation)に抗うつ薬アミトリプチリン(10 mg/kg/d)を13日間、健側の足底切開前後で周術期投与すると術後痛の遷延化が改善することがわかった。さらに、その機序にはノルアドレナリン作動性神経系ではなく、ムスカリン性コリン作動性神経系が関与していた。 追加実験として、慢性期のspinal nerve ligationモデルにアミトリプチリンを5日間(10 mg/kg/d)反復投与した場合、ノルアドレナリン作動性神経系とムスカリン性コリン作動性神経系による内因性鎮痛機能が賦活化されるかどうかについて薬理学的拮抗試験を行った。抗うつ薬アミトリプチリンによって賦活化された内因性鎮痛は、α2受容体アンタゴニストのidazoxanによって拮抗されたが、ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストのatropineでは拮抗されなかった。
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