研究課題/領域番号 |
18K16439
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
増田 孝広 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (40594635)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 集中治療医学 / 栄養療法 |
研究実績の概要 |
本研究の研究計画では、人工呼吸器に呼気ガス分析装置を装着することで、1日の栄養必要量を割り出すことを含んでいた。呼気ガス分析装置は集中治療部のモニタ機器に付属して用いることができ、侵襲を加えることなく、実際の臨床において使用されるものであるが、これにより間接熱量計を用いるよりも簡便かつ持続的にモニタリングできることが令和元年度までに分かっていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染制御の観点から、呼気ガスを閉鎖回路外へサンプリングして分析する方法は、施設の規定として認められない裁定となった。このため、令和2年度より呼気ガス分析を用いた栄養療法の観察研究そのものが実施不可能な状況となり、令和3年度においても同様の状況であった。 令和4年度も令和3年度に引き続き、観察研究のデータを蓄積する予定で計画を進めていたが、研究の場である所属する施設の集中治療部門が新型コロナウイルス感染症の重症症例の専用病棟となった期間があったことで、研究計画を大幅に変更する必要が生じ、当初計画していた観察研究の実施は困難であった。
これらの状況のため、令和4年度まで研究の実施そのものが困難となる状況があったが、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類と制定される令和5年度以降、感染症流行状況を勘案しながら研究を継続することが可能となる見通しを得たため、当初補助事業機関は平成30年から令和4年までの5カ年とする計画であったが、さらに1年間の延長により令和5年度中に観察研究の成果物を発表する方針とした。 なお、この間新型コロナウイルス感染症の倫理的側面について、院内で新規に立ち上げたECMO支援チームとして取り組み、これが令和2年中に学術雑誌に掲載されたほか、日本集中治療医学会において栄養療法に関わるセッションの議論に積極的に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度より、所属する施設が新型コロナウイルス感染症の重症症例を収容する専用病棟となり、通常診療が実質的には不可能な状況となった。本研究は、人工呼吸器に接続した呼気ガス分析を行うことが不可欠であるが、新型コロナウイルス感染症の特性上、安全に検体を扱うことが不可能と判断されたため、感染制御の観点から当初の計画通りの研究計画を遂行できない状況となった。 令和3年度、および令和4年度においても、流行の断続的な拡大により、年度当初は現状の状況では研究の遂行は困難、あるいは不可能の状況となることが予測されたが、令和5年度に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症となることから、今後感染症流行状況を勘案しながら、あるいは呼気ガス分析を行わない形での観察研究へ方法を変更することで、研究期間を延長すれば課題の遂行は可能と判断し、さらに1年間の延長の上、研究を継続することとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度においては、新型コロナウイルス感染症の流行状況などによって、通常診療に従事できない、あるいは施設が新型コロナウイルス感染症の専用病棟化して、当初計画していた、呼気ガス分析を使用した研究計画が遂行できない可能性がある。 このため、令和5年度においては、研究遂行のため、当初計画していた呼気ガス分析機器による1日栄養必要量の算出を行わず、診療録情報などを元にした後方視的な観察研究にすることも視野に置いている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初3カ年での計画で行っていた研究であるが、令和2年度より新型コロナウイルス感染症の増大により呼気ガス分析を用いて行う予定であった研究計画に特に著しい遅れが発生したため、1年間の期間延長を申請した。にもかかわらず、令和3年度においても新型コロナウイルス感染症の感染状況により当初の計画通りに研究を遂行することが困難となった、令和4年度においても実施困難な状況が断続的に生じたが、令和5年度において研究遂行が可能な状況が生じることが見通せる状況になったため、研究計画を遂行することを判断し、さらに1年間の期間延長を申請することとした。これにより、次年度使用額が発生した。 令和5年度において、分析機器の購入や論文の投稿費用などにこれらの使用額を充当する計画である。
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