研究課題
若手研究
本研究では、SR-KOマウスを用いて、以下のことを明らかにした。[1]SR-KOマウスは、脊髄後角のNMDA受容体を介した興奮性シナプス伝達が亢進している。[2]SR-KOマウスは末梢神経結紮方法の違いによって、疼痛感受性に対する影響が異なり、Chung法による末梢神経結紮を行うと機械刺激による痛みに対して感受性が増大する。[3]Chung法による結紮を行ったSR-KOマウスでは、未結紮SR-KOマウスよりも興奮性シナプス伝達がさらに増強した。
神経生理学
神経障害性痛は多様な症状を引き起こす難治性の慢性疼痛であり、神経障害性痛の発症メカニズムの解明とその鎮痛法の開発は世界的に重要な課題である。本研究では、SR-KOマウスを用い、内因性D-セリンが神経障害性痛の発症にどのように機能しているか、脊髄における機能をシナプス伝達レベルで電気生理学的に明らかにした。この研究成果は神経障害性痛の発症機序解明に有用な結果をもたらし、既存の鎮痛法に抵抗性である難治性疼痛の新たな治療法の開発に貢献すると考えられる。