研究課題/領域番号 |
18K16465
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大下 健輔 久留米大学, 医学部, 助教 (70529510)
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研究期間 (年度) |
2021-03-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / DREADD / HCN / 脊髄後角 |
研究実績の概要 |
過分極誘発陽イオンチャネル(HCN1~4)は細胞内cAMPによって電流が増大するという特徴を持ち、痛覚伝導路において重要な機能を果たすことが報告されているが、脊髄における発現分布や機能については不明な点が多い。 我々はHCN4遺伝子の翻訳開始点にホタルルシフェラーゼをノックインしマウス(HCN4+/luc)を用いて、脊髄後角にHCN4が特異的に発現していることを発見した。 詳細に発現部位を解析するために、HCN4遺伝子の翻訳開始点にテトラサイクリントランスアクチベータ(tTA) とその応答配列(TRE) をノックインしたマウス(HCN4+/tTA-TRE)とHCN4+/lucを交配したマウス(HCN4luc/tTA-TRE)を作成し、ドキシサイクリンを投与することでHCN4 の発現を可逆的にノックダウンした。このマウスを使用して、免疫組織化学染色行い、HCN4 陽性細胞の細胞体が主にII 層深部とIII 層に局在していることが明らかとなった。 さらに脊髄後角においてHCN4はパルブアルブミンもしくはプロテインキナーゼCγ(PKCγ)と共発現しており、HCN4 陽性細胞の大多数が興奮性介在ニューロンであることが判明した。 PKCγ陽性の興奮性介在ニューロンはアロディニア形成に関与することが報告されており、今後さらなる研究に進展する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択的に脊髄後角のHCN4発現ニューロンにおいてHCN4を活性化するため、テトラサイクリン応答配列の下流にGsを活性化するDREADD(designer receptors exclusively activated by designer drugs) のcDNA を挿入したアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-GsDREADD) をHCN4Luc/tTA_TRE の脊髄に注入する段階まで研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
神経障害性モデルであるchung modelを作成し、HCN4の発現変化やGsDREADDを使用して脊髄後角に発現するHCN4を特異的に活性化させることで起こる疼痛行動の変化を評価することで生理的機能を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会や勉強会に参加するための旅費が必要なくなったため。
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