研究課題/領域番号 |
18K16473
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
國分 宙 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50782695)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / オピオイド誘発性疼痛過敏 / 変異BiPノックインマウス / 化学シャペロン |
研究実績の概要 |
本研究ではマウスを個体レベルで低酸素に暴露して、治療薬として化学シャペロンを投与し小胞体機能を補完することによる虚血低酸素神経障害の予防、治療法の開発を検討する。また、変異KDEL受容体トランスジェニックマウス、変異BiPノックインマウスという小胞体機能障害マウスを用い、新生児期の虚血低酸素神経障害に対する小胞体分子シャペロンの機能を明らかにすることが目的であった。 当初の予定とは異なるが、現在はオピオイド誘発性疼痛過敏(opioid induced hyperalgesia:OIH)に対する小胞体ストレスの影響について実験を行っている。野生型マウスにレミフェンタニルを間欠的に投与することによって、疼痛過敏モデルマウスを作製した。作製した疼痛過敏モデルマウスに、Sodium phenylbutyrate (4-PBA)やTauroursodeoxycholic acid (TUDCA)といった化学シャペロンを投与することによって、疼痛過敏を抑制する可能性が示唆された。同様の実験を変異BiPノックインマウスでも行い、効果を検証する予定である。 また、培養細胞でも実験を行い、オピオイド受容体の発現、オピオイド鎮痛効果、下行性疼痛抑制系の異常について組織学的、分子生物学的に検証し、小胞体化学シャペロンの治療効果を検証する予定である。 上記と並行して、吸入麻酔薬による神経保護作用および神経毒性と小胞体ストレスについても研究を行い、論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疼痛過敏モデルマウスを作製し、化学シャペロンの投与によって、疼痛過敏を抑制する可能性が示唆された。当初の予定とは異なる研究ではあるが、このまま研究を進めていくことで、オピオイド誘発性疼痛過敏と小胞体ストレスに関して、有用な知見が得られる可能性が高いと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
オピオイド受容体の機能不全の原因として、オピオイド受容体の発現量の低下や細胞内分布の変化とオピオイド受容体の情報伝達の異常が考えられる。本研究では、レミフェンタニルの反復投与による疼痛過敏モデルマウスを作製して中枢神経系におけるオピオイド受容体の発現、細胞内分布とオピオイド受容体の情報伝達を評価する。マウスは正常マウスと変異BiPマウスを用いる。オピオイド受容体の発現、オピオイド鎮痛効果、下行性疼痛抑制系の異常について組織学的、分子生物学的に検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は20円と少額であり、明確な使用計画があるわけではないが、実験動物や薬品購入の費用に使用する予定である。
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