研究課題/領域番号 |
18K16476
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
植田 広 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40748498)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蛋白結合率 / レミフェンタニル / 平衡透析 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
人工心肺中の蛋白結合率変化を測定すべく行なってきた研究の結果、臨床使用時のレミフェンタニルの蛋白結合率が添付文書と異なる可能性があると考えられたため、本研究では臨床使用時のレミフェンタニルの蛋白結合率の測定を行うこととした。先の研究でレミフェンタニルの分解阻止のために添加した50%クエン酸の影響で正しい蛋白結合率が測定できない可能性が示唆され、本研究ではクエン酸を添加せずに測定を行う方針とした。平衡透析により蛋白に結合していない薬剤を分離した。平衡透析には少なくとも2~3時間程度の事案を要するため、クエン酸添加のない血漿中でレミフェンタニルがどの程度継時的に分解されるかをまず確認したところ、血中における半減期から考えると極めて緩徐な速度で濃度が低下することがわかった。しかし、分解がゼロではないため、血漿に分離した後、速やかに平衡透析機のセルに充填し、平衡透析後に回収したバッファーと血漿に50%クエン酸を後から添加する方法をとることにした。 現在用いている平衡透析機は、1組5セットのセルが搭載できるユニットが4組あり、合計すると一度に20検体を平衡透析することができるが、あらかじめ透析膜をセットしてからの使用となるため、血漿を採取して順次充填していく方法ではあらかじめ下処理をした透析膜が乾燥してしまい、正しく平衡透析ができない恐れがある。当初の予定では10時点の採血を行う計画であったが、採血時点を4時点に絞り、4つのユニット各々に1検体だけをセットする計画に変更した。 採血時点の変更を含めたプロトコールの変更について、当施設における各審査を終えたため、今後測定症例数を積み重ねる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
人工心肺中のレミフェンタニルの蛋白結合率変化の研究と重なる部分であるため、平衡透析の手順や条件を再考しながら、クエン酸による分解阻止を行わずに測定した場合の測定結果の継時的変化についても検証した。 現在使用している平衡透析機の構造と、クエン酸なしで行う方法での制約から、プロトコールの再考を要した。 また、新臨床研究法に照らし合わせた対応が必要となったため、当施設での研究継続を一時中断し、倫理審査などの手続きを初めからやり直す必要が出たことから、プロトコールの変更を含め、書類上・事務上の手続きを行った。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査などの手続きが済んでいるため、月に1~2例程度の測定を行なっていく予定である。 また、限外濾過など平衡透析以外の方法も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体の生化学検査がほとんど行えなかったことから、昨年度は支出が非常に少なかった。本年度は月に1~2例の症例で採決を行い、生化学検査も症例数を積み重ねる予定である。
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