研究課題/領域番号 |
18K16478
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 果林 京都大学, 医学研究科, 助教 (70782639)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | しびれ / 化学療法誘発性末梢神経障害 |
研究実績の概要 |
今年度については、新型コロナ感染症の影響により、学会の開催が中止・延期されたり、開催が不確定であったりしたために、本項目に関する学会での発表ができなかった。 また、医療提供状況がひっ迫しており、研究に充てられる時間も確約できるものではなく、学会参加もかなわなかった。 さらには、所属する施設の方針により、国内の移動や集会の参加が禁じられており、また、外食も禁止されているために研究発表成果を披露する場がなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
抗がん剤使用時の代表的な副作用に,末梢神経障害(CIPN)がある。刺痛、四肢末端のしびれ感、知覚異常、冷感刺激に対する知覚過敏、感覚消失・感覚麻痺や違和感等の感覚異常、知覚性運動失調、筋力低下等が生じる。この中でも特に「しびれ」という感覚は,動物モデルやその評価法がいまだ確立されておらず,発症機構は未知である。CIPNに対する有効な改善薬は未だ見出されていない。投与中止後もCIPNは数年間にわたり持続又は増悪することがあり、がん治療上重大な問題となっている。CIPN発症時のしびれ感や痛みに関連する遺伝子多型を解析し、CIPNの重症度・表現型と遺伝子多型を関連付けることを目標としている。昨年度までに、有意な遺伝子の同定にはい至っていない状況であり、今年度はさらなる患者リクルートと遺伝子解析をすすめることを計画していた。 今年度については、医療提供状況がひっ迫しており、研究に充てられる時間も確約できるものではなく、研究を行う環境としては非常に苦しかった。 また、抗がん剤施行中にCTCAEでGrade Ⅲ以上、DEB-NTCでGrade Ⅲ以上、FACT-NTXが化学療法開始後に3以上上昇、VAS 30以上上昇するCIPNを発症した新しい患者リクルートが必要であるが、コロナ禍での受診抑制、病院へ近づくことへの恐怖感、特に担癌患者であるため感染に最大限留意した患者の安全確保の必要性など、様々な理由から新規リクルートを行うことが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、さらなる研究に参加してくださる患者リクルートが必要であるが、研究機関との往復における感染予防や、緊急事態宣言中における研究リクルートについて、小兵器がある。病院における滞在時間を可能な限り短くする工夫が必要であると考えている。検体採取前の発熱・味覚異常の有無や新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者との関与などの問診票の充実、体温測定の必須化、また、これまで神経障害に関するに末梢神経障害の評価に米国 National Cancer Institute(NCI)の作成した 有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events/CTCAE)v4.0、Debiopharm社 神経症状-感覚性毒性基準 (DEB-NTC)、患者のセルフアセスメントツールとしてFunctional Assessment of Cancer Therapy-Neurotoxicity(FACT-NTX)、visual analogue scale(VAS)を使用しているが、これらを病院内で記載していただくのには時間を要するため、タブレットによって、入力を簡易に行い、院内滞在時間の短縮と研究に参加してくださる方への安全確保に努める予定である。 遺伝子多型の頻度やその臨床的意義には人種差が存在する可能性があるため、今後も国内での患者リクルートを継続して行っていく予定であるが、新規リクルートが困難を伴う場合には遺伝子だけではなく、脳機能画像などの他の因子の関与がないかについて追加で検討することも考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究がほとんど中止している状態。次年度にむけて、感染予防に留意した新たな研究計画について策定し、すすめている。
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