研究課題/領域番号 |
18K16478
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 果林 京都大学, 医学研究科, 助教 (70782639)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CIPN / 慢性疼痛 / 破局的思考 |
研究実績の概要 |
化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は、化学療法の減量、遅延、中止につながる可能性があり、有効な予防策が限られている。他の研究においてもCIPNの予防や治療法として広く有効な戦略には至らず、CIPNのリスクを予測するための臨床的有用性が証明された遺伝的関連はない。 こういった関連が見いだせない理由として、CIPNの診断が患者の自己申告による四肢末端の痺れまたは知覚異常の存在に基づいて行っていることも影響しているためであると考えた。国際疼痛学会(International Association for Study of Pain: IASP)は,痛みは「組織損傷が実際に起こった時あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」と定義しており,痛みは主観的体験であるため、臨床的な兆候をより細分化することによって、患者の症状が慢性化する原因について検討することとした。Pain Catastrophizing Scale日本語版(PCS)や身体化の兆候としてSSS―8や気質次元-行動抑制系(Behavioral Inhibition System; BISと行動賦活系(Behavioral Activation System; BAS)、Rosenbergの自尊感情尺度等を用いて、患者の特徴を明らかにしている。破局的思考と痛みの強さや生活障害との関連を調べた先行研究では,身体機能障害と破局的思考との間に関連を認めず,身体機能障害よりも破局的思考の方が痛みの強さや生活障害と関連しており、遺伝子よりも後天的な要素もしびれ・痛みの因子としては考慮する必要がある。現在慢性疼痛患者の解析のみ実施しており,交絡因子の影響を考慮することや因果関係を検討するには至っておらず、引きつづき患者数を増やし検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で福祉施設の利用ができない等、研究実施者の体制に大きな影響があった。 また研究にご協力いただく方が体調不良等でこれないなど、安定した研究環境の確保が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
さらに被験者を増やし、臨床的な差異について明らかにすることで、患者をグループ化し、それどれに特徴的な兆候を明らかにすることで、何が慢性化や痛みに寄与する因子かを特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響で被験者が予定通りに来院できないことがあり、翌年度に繰り越すこととした。
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