局所麻酔薬は心臓のナトリウムイオン(Na+)チャネルを阻害して心機能を抑制する。これまで肥大心でその心毒性が増悪するかは分かっていなかった。心肥大においてブピバカインによる心抑制が増強するかを調べた。 心肥大モデルラットを作成し、in vivo実験とパッチクラプン法でのNa+チャネル記録などで検証した。 実験結果から、心肥大ラットではブピバカインの心毒性が増強していることが示された。その機序として、心肥大において心筋細胞膜上に過剰発現しているTRPC3を介して本来細胞膜を通過しない陽イオン型の局所麻酔薬が通過することを明らかにし、それに伴って細胞内のブピバカイン濃度が上昇したためと考えられた。
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