平成30年度、外来で患者を募集し、帯状疱疹後神経痛患者の疼痛に関する問診(安静時の疼痛強度、不安の程度の指標)とMRI撮像を行った。fMRIの解析を並行して行った。健常人と比較して変化の見られる脳領域を特定した。 慢性疼痛患者で変化が見られることが判明している脳領域に注目した場合、海馬皮質、小脳、後帯状回、被殻の脳内の機能的結合が変化していることが分かった。また、特に特定の脳領域に注目せず、脳全体を対象として健常人と脳機能が異なる領域に注目した場合、前帯状回、一次体性感覚野における脳機能が変化していることが分かった。 つまり、研究の目的で述べた、Affective Pain Regionsと下行性疼痛抑制系を関心領域とした機能的結合の、帯状疱疹後神経痛患者の変化を見出すことができたと考えている。 さらに、疼痛に関する問診の結果(疼痛強度、不安の程度)と、群間差が明らかであった機能的結合との間に有意な相関があることが分かった。海馬と疼痛強度、海馬と疼痛による破局化傾向の程度に有意な相関性があった。このことにより、帯状疱疹後神経痛の疼痛を、fMRI手法を用いることにより、定量化することができたと考えている。 以上より、初年度で目標としていた、帯状疱疹後神経痛の慢性痛による脳機能と、健常人との比較を行うこと、及び疼痛に関連した指標と脳機能との相関性を評価することは達成できたと考えている。 その結果を主要な国内学会と国際学会で発表した。
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