研究課題
プロポフォール注入症候群の病態の分子機序の解明を目指してプロポフォールの標的器官としてミトコンドリアを想定し,細胞内エネルギー代謝,ROS産生,細胞死などの観点からプロポフォールの毒性発現の機序解明を目的とする研究を遂行した。初年度の研究成果(VHL(Von Hippel-Lindau; フォンヒッペル・リンドウ)遺伝子が欠損していて転写因子hypoxia-inducible factorが通常状態でも活性化しているという性質を持つは腎臓癌由来の細胞株RCC4細胞とRCC4細胞に遺伝子工学的にVHLを導入した細胞(RCC4-VHL細胞)をもちいてプロポフォール毒性を比較したところRCC4細胞ではプロポフォールによる細胞死が起こりにくいという実験事実)を受けて最終年度に以下の検討を行った。臨床応用への視点からすでに薬剤として認可されているまたは臨床治験が行われているHIF活性化剤を用いてプロポフォールによる細胞の活性酸素種(ROS)産生と細胞死への影響を検討した。HIFa水酸化酵素阻害薬roxadustat, vadadustat, daprodustat, molidustatを用いてプロポフォールによるROS産生、細胞死への影響を検討したところROSの産生、細胞死がいずれの薬剤によっても軽減できることを見いだした。 さらにこれらの効果がHIF-1の活性化に依存していることをsiRNAによるHIF-1aのノックダウンを含む実験で確認した。
すべて 2019
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JA Clin Rep
巻: 5 ページ: 24
10.1186/s40981-019-0244-z