研究実績の概要 |
ラットクラッシュ症候群モデルを確立し、水素吸入療法の効果を検証した。8週齢の雄のSprague-Dawleyラットにイソフルランで全身麻酔下に、専用の装置を用いて両側大腿部をそれぞれ3kgの重りで6時間圧迫し、圧迫解除直後に水素ガス群(H2群)は水素1.3%+窒素77.7%+酸素21%、対照群(Ctrl群)は窒素79%+酸素21%のガスチャンバー内で管理し、18時間後にラットを犠牲せしめ、メカニズム及び生存解析を行った。H2群は18時間生存率を有意に改善した(Ctrl: 44% vs. H2: 100%, P=0.04, n=9 or 6)。圧迫解除直後の血中CK, AST, ALT, Cr, K, Lactateは有意差を認めなかった。一方、18時間後では、AST, Cr, K, Lactateに有意差は認めなかったが、CK(IU/L)はCtrl群 vs. H2群=43525 vs. 7510 (P=0.02, n=4)とH2群で有意に低く, ALT(IU/L)はCtrl群 vs. H2群=832 vs. 182 (P=0.06, n=4)とH2群で低い傾向にあった。クラッシュ症候群に対する水素ガスの吸入は急性期の生存率を改善する可能性があり、高い致死率を呈するクラッシュ症候群に対する有効な治療となる可能性がある。しかしながら、今後は他のタイムポイントも含めて更なるメカニズムの解析が必要である。
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